雨の日に虹を描く
お題、残念な水溜り。制限時間、15分です。
4歳のタケルは新しく買ってもらったチョークを持って外へ出た。外はあいにくの天気で、ザアザアと雨が降っているが、空色の傘を持っているタケルは自分を無敵の存在だと思っていた。
青い長靴を履き、お気に入りの機関車のレインコートを着て公園へ駆け出す。
「画用紙なんかよりずっと大きい絵を描いてやる!」
タケルは公園に敷き詰められた焦げ茶色のレンガの上に、鮮やかなクレヨンの虹を描きあげていく。
紫、青、赤、緑、黄色、オレンジ。タケルのレインコートのポケットからは次々とチョークが出てくる。
「出来るだけたくさんの色を混ぜた方がきっと綺麗になるよね」
持っているチョークの色をありったけ使って、タケルは自分の背よりもずっと大きい虹を完成させた。
綺麗に出来上がった虹に満足したタケルは、この大作を母に見せようと思い立ち、家へと駆けて戻っていく。
すぐにタケルは母を連れて公園に戻ってきた。
そして自慢げに虹を描いた場所へと案内する。
どうしてこうなったんだろう。
タケルの前には淀んだ色の水溜りだけがあっ