8話
こんにちは、8話です。暖かい日々が続いたかと思ったら冬に戻ってしまいました。今日お墓参りに行きましたが、風が冷たかったです。
綺麗て、少し広い部屋の中、豪勢な椅子に座るこれまた幼女。
「来たか。妾は待ちくたびれたぞ?」
ハクは首を傾げ、その後に勘で気がついた。
「まさか王女?」
「王女様だ。」
幼女、王女の隣に立つ女性がそう付け足した。マーリンは空いた口が塞がらないようだ。
「えぇぇぇぇぇぇぇ…⁉︎」
魔王の推薦状、そこにはまさかの王女の名前が書かれていたのだ。
「ここに座る方をどなたと心得る!
ここに座るは、いとも可愛くなでなでしたくなる現代王女、スカンジ・オブ・ウェールズ様にあるぞ!
ええい頭が高い!跪け‼︎」
そう言った矢先に女性が真っ先に正面に跪く。
「ああやはりお可愛い…。」
ハクは唖然とした。
「変態だ…。」
「なに?」
変態が反応した。
「この親衛隊長であるイットリー・バストバッドを変態呼ばわりか?なんと命知らずな。私はイエスロリータノータッチを基本にしている!断じて一線は超えていない!
仮に変態だとしてもそれは、変態という名の淑女と言うものだろう?」
「こんなロリコンが親衛隊長とか、ここもかなり世紀末だと思うけど?」
「猫耳少女…、タイプとは言えそれは聞き捨てならないな。
ロリコンはまだしも、私が親衛隊長であるのに文句があるのか?」
「そこ認めるの⁉︎」
事態の収拾が付かなくなったのを、マホトが見兼ねて発言する。
「スカンジ王女、あなた方に協力を要請したいわ。まず事の次第を説明…、」
その時、ドアが勢いよく開かれた。
「王女様‼︎」
「何事じゃ?」
入って来た男は、書類を見て王女に報告する。
「モンスターの来襲です。」
「なんじゃと?どこから来たのじゃ?」
「は。恐らく方角からしてイースターかと。」
(イースター。例の連中もあそこから湧いたわね。やはり関係がありそうだわ)
「なお現在、フランスのラルトーを襲撃。海に添い北上中との事です。」
もう1人男がやって来た。
「閣下、モンスターの種族は飛竜の様です。討伐兵が接近すると、あっと言う間に空を飛び寄せ付けないとの事です。」
「私が合衆国で遭遇した奴と同型かしらね?」
「何としてでも王都進行は防ぐのじゃ。国民の士気にも関わるじゃろう?
イットリー、親衛隊を率いて向かえ。」
「はっ。王女陛下の為に!ニケ、支度するぞ!」
「わかりました!ついでにみなさんを呼んできます!」
2人は急いで部屋から出た。
「ハク、マーリン。…それから2人!付いて行きなさい!」
「「わかった。」」
「「アイヨォッ‼︎(=゜ω゜)ノ」」
ハク達も急いで付いていく。
王都より南、サウサンプトン。サイレンがこだまし、賑やかな街並みの雰囲気は消えていた。
「ニケ、市民達の避難はできてるよな?」
「はい。あとは私達と…、」
「猫耳か…。」
イットリーはハク達を向く。
「いいか?別にお前達が邪魔とかじゃないんだ。ただ、今回は王女の勅命で私達が来ている。恐らく王女様は、私達の力量を見せようとしているのだろうな。
そんな訳で、手出し無用だ。そこで見ていろ。」
イットリーが手で制止する仕草をする。と、それから暫くして、
「ネオ〜、見えたよ〜!」
「わかった。…こっちも見つけた。距離、25000!」
親衛隊の服を着た、双子が遥か遠くの獲物を発見する。
「団長〜、射撃していい?撃ちたい〜。」
「よーし。セオ、ぶっかませ!」
「ラジャ‼︎」
セオ、と呼ばれた少女は笑いながら敬礼したあと、ゴーグルをつけて禍々しい機械を構える。
「え〜っと、距離25000で…。今どの位?」
「22000。」
「じゃ、こんなかな?ファイヤ‼︎」
セオがトリガーを引く。一瞬機械の先がスパークを纏った途端、先端から光が放たれる。
遥か遠くで、何かが爆ぜたような煙が上がり、暫くして音と、恐らく飛竜の悲鳴が遅れて聞こえた。
「まだ仕留めきれてない!…かなり怒ってる、こっちに来るよ!」
「OK。ニケ、ケイネ。やるぞ‼︎」
イットリーが柄を抜くと、スイッチを押し光の刀身を露わにする。ニケも、鎌を持ってやはり光刃を出す。
「距離、…もう来ます!衝撃波に気をつけて!」
双子のもう1人、ネオも鞘を出し刃を出す。と、途端に飛竜が猛スピードで近づくのが見えた。
「ケイネ。」
「任せろ。」
顔に痣を持つ少年、ケイネは実刀の剣を抜き、構える。その意識はただ、飛竜に。
飛竜が正面に迫る。そして真上を通過する寸前、
「ふんぬっ‼︎」
居合斬り、勢いそのまま突っ込んだ飛竜はもろに刃を受け、打ち落とされる。
「ガァァァァ‼︎」
なおも飛び立とうとする飛竜。しかしある事に気づいた。
飛竜の翼が、根元から切り落とされていた。
「見事!いや御見事‼︎」
イットリーが飛竜に斬りかかりに向かう。頭に血の登った飛竜は、足だけで自重を支えて果敢にもイットリーに打って出る。
イットリーは軽快な身のこなしで飛竜の強力な一撃を避け続け、飛竜の身体に少しづつダメージを与えていく。飛竜の注目は、イットリーに向かった。
が、途端に変化が起こる。
飛竜の首が宙に浮く。そしてぼとりと墜落した。
ニケが、鎌で首を斬り落としたのだ。
「よし、これでいいな。後処理は、連中に任せればいいだろ。」
イットリーは光刃を消し、柄をしまう。
この連携プレーに、ハクは魅了されていた。