7話
朝に投稿したので、おはようございます。7話です。
学校の方はもう終業式を迎えます。これから春休みです。追認講座が来なければいいのですが…。
「あんたは人間についてどう思うの?勿論、客観的に見て。」
魔王は紅茶をクイッ、と飲み干す。
「私は…、」
ハクはゆっくりと語り出した。
「人間、馬鹿だとやっぱり思う…、思います。」
「タメ口でいいわ。やりづらいでしょう?」
「では。…私の村にも、テレビは通るわ。それ見てると、本当に馬鹿みたい。人類存亡の危機なのに、他人事のように騒いで、他人事のように戦争して、他人事のように平和とかを叫ぶ。
…馬鹿そのものだと思う。やっぱり。」
「ほほう?」
「人間は痛い間に合わないとわからない。でも、この頃は痛い目にあっても変わらない。人間、平和ボケして退化したみたい。」
「確かに、ね。」
魔王は両手を広げる仕草をした。
「私は人類が生まれる前から世界を見て来たわ。みんな、懸命に生きて哀れに死ぬ。人間も貪欲だったけど、あの頃はまともだったわ。
でも、同類を意味なく殺して、知性を振りかざして横暴して、どんどん弱くなっていったわ。
野生を忘れ、残されたのは臆病と貪欲だけ。」
「でも、いい人もいる。」
魔王はクスリ、と笑った。
「ほんの一握りよ。一握りの善人は、あっという間に飲まれてしまうわ。」
「うん。でも…、
私はその一握りの希望に賭けたい。…かな?」
ハクは僅かな決意を持って言った。魔王はあざあるように笑う。
「賭けて、どうするの?あんたはその一握りの為に、他の悪人も救う気?」
「他の悪人も救う事になっても、見捨てるよりはマシ。私は選ぶ凡人より、公平な善人でありたい。」
ハクの真っ直ぐな目に、魔王は決めた。
「良いわ、力を貸してあげる。ほんの少しだけ、ね。」
魔王はそう言うと、紙を取り出し何かを記し始めた。
「私は戦闘は嫌いよ。そもそも苦手だし。でも、この世界の法則に手を出す程度は出来るわ。もし、貴方が危なくなったりしたら助けてあげる。まずはそれでOK?」
「良いの?人間が嫌いなんじゃないの?」
「嫌いじゃないけど、ただ腹が立ってるだけ。
それから、これ。」
魔王が紙を手渡した。そこには名前と、ブリテンの文字。
「私、裏の名前があってね。そっちの方だと有名人なの。これを門番に渡して頂戴。そしたらあっと驚くはずよ?
ま、きっと力にはなってくれるわね。」
そして魔王はニカっと笑ってみせた。
「good luck!」
そして、ブリテン王都、王宮正門。モケはまたしも離脱…、
していなかった。なぜか今回はシモンとともに付き添っている。
「ブリテンなんか、くるような人生歩んで無いんだよな〜。」
「モケ達はロシア戦線を果敢に攻めたモケね。ブリテン兵とは戦わなかったモケ。」
「挙句モケは死んじまったし、私も吹き飛ばされた!はは、ザマァ無いな。」
「そうなの?」
「ああ。モケは表で暴れて、その隙に私が狙撃してこっそり仕留める。このコンビ強かったぞ〜?」
「モケェ。あの頃が懐かしいモケェ(´-ω-`)」
と、そうしている間にマホトとマーリンが門番に紙を渡した。
「あー、この人の推薦で来たの。通してくれる?」
門番は紙を見て驚いた顔をし、敬礼した。
「は!案内をお呼びいたします。暫しお待ちを!」
門番は急いで王宮内に向かう。しばらくしてスチームパンクな服を着た少女が来た。
「お待たせしました。案内人兼、使用人のニケです。こちらに。」
ニケはそう言うと王宮内に戻る。
「あんた達、来なさい。」
これを聞いたハク達は、急いでマホトと合流しにかについていく。
王宮内は思っていたよりも広かった。
「ねぇ、あの武器。」
「ん、あれ?」
ハクがニケの背中の武器を指差す。
「鎌、みたいね。でも、刃が無い。」
「ああ、この鎌ですか?」
ニケが振り向く。
「この鎌、メーザーの技術が使われているんです。使うときにメーザーの刃を出すんです。
私達親衛隊はみんなメーザーの武器を使っているんです。」
「なに?SS?」
ニケは苦笑いした。
「ああ、言ってませんでしたね。失礼しました。」
「SSかぁ〜、懐かしいモケ。モケもSSに呼ばれたことあったモケ。」
「そうなの?」
モケは頷いた。ニケが話しかける。
「皆さんは、好きな食べ物とかありますか?
…ああ、まだ目的の部屋まで距離があるので、少し。」
「私はヨ〜グルトかな?」
「確かに、美味しいですよね。ヨーグルトって。何とも言えないあの味…!
ああ、失礼しました。そちらの魔道士の方は?」
「私はクッキー。」
「私もよ。クラッカーも守備範囲で。」
「へぇー、少し意外です。でも、言われてみればそんな雰囲気はありますね。
…ああ、着きましたね。こちらです。」
「「(´・ω・`)」」
不運にも聞かれなかったモケとシモンに気づかず、ニケはドアをノックした。
「閣下。例の方達を連れて来ました。」
ニケはそう言うとドアを開けた。