5話
お待たせしました、5話です。早速遅れました。グダグダです。すみません…。
「私の出番かしら。」
「当たり前よ!最初からあんたが行けば良かったじゃないの‼︎」
「戦闘はあまり好きじゃないの。」
ハクとマホトが口論していた。マーリンは身体の具合を確かめている。
「私はまだ戦える。」
「マーリン、もういいわ。私が出る。」
そう言うと、マホトは指を鳴らし、その場から消える。
マホトは壊れた建物の上に立ち、尚も奮戦する蒼いF16を見て、そして耳元に右手を当てた。
(聴こえてる…?そこのパイロット。)
自機のコクピットの中で、ソプラはその声を聞いた。
「誰っ‼︎」
(あの飛竜を倒すのに手伝って欲しいな。あいつを地面に落として。追い込むのでもいい。)
「そんな無茶な!今こうやってドッグファイトするのがやっと‼︎」
(そこを何とか出来ない?)
「ああ、もうっ‼︎どいつもこいつも無理強いばかり!
…お姉ちゃん、目標を地面に追いおとすよ‼︎」
[オーケーだ、任せろ!]
「これで、よしね。後は魔法陣の展開用意、と。」
マホトは懐中時計を取り出し、靴を履きかえる。
「くっ、このっ‼︎」
飛竜に背後を取られ、右に左に機体を逸らすソプラ。もはや振り切れないのは誰の目にも明らかだ。僚機が必死に攻撃するも、頭に血が上った飛竜はソプラに食らいついて逃がさない。
と、ソプラは気が付いた。
「びっくりすること、やってみる?」
機体を翻す。やはり飛竜は食らいついてくる。ソプラはそれを確認すると、地面に向かって急降下する。
「やったからにはちゃんとやりなさいよ!」
脱出レバーを引き、コクピットからソプラは躍り出た。機体は真っ逆さまに地面に突っ込む。飛竜も釣られて地面に激突した。
(ありがとう。)
「第3空間魔方陣、展開!」
マホトはそう言うと、懐中時計のスイッチを押した。すると、まるで、動画をスローにする様に、時の流れが遅くなっていき、動いているかも定かではないくらい、遅くなってしまった。
マホトが指を鳴らす。飛竜の目と鼻の先に立った。無論、飛竜はそんな事に気がつくこともできない。
「哀れね。」
ゆっくりとマホトは飛竜に近づく。
「死ぬといいわ。第4空間魔法陣!」
マホトは跳躍した。マホトの身体は途端に重力を無視し始めた。するとマホトは、飛竜に向けて鋭い氷塊を放つ。が、氷塊が形成される前に、マホトの時間軸の干渉を離れ、術式だけがそこに残される。
マホトは気にせず、次々と氷塊魔法を唱える。飛竜を全ての方向から囲む様に。
全て唱えた後、マホトはもう一度飛竜の方を向く。
「game overよ。解除。」
マホトがまたも指を鳴らすと、時の流れが、今度はゆっくりと加速し始め、氷塊が形成される…。
飛竜は自身の周りにいつの間にか、大量の氷塊がある事に驚いた。そして、自身に向くそれらで、飛竜はこの後起こることを悟った。
次々と刺さる氷塊。もはや飛竜は原型を保てず、身体が崩壊を始める。
そして全てが静まった時、そこには瓦礫と飛竜の残骸と、そこに刺さる氷塊が、残された。
マホトのところに向かうハクは、人間に遭遇した。パラシュートを畳む、パイロットだ。
「…何見てんの。見せもんじゃないわよ。さ、帰った帰った。」
「あんた、あの蒼い戦闘機のパイロット?」
パイロットは素っ気なかった。
「凄かった。本当に。」
「私はやるべき事をしただけ。すごくも何ともない。」
「そうなの?」
「軍では当たり前よ。むしろ、やらなきゃ死ぬわ。敵前逃亡は銃殺だし、出しゃばると戦死。最もなことは、やる事はやる。それだけ。」
「へえ、軍って奴は堅苦しいのね。」
「ふん。とにかく、私は帰るわ。まだ陸軍が居残ってるうちにね。」
そう言ってパイロットはどこか行ってしまった。と、カシャンと金属の落ちる音が少しした。
「ん?」
ハクはそれを拾う。そこには、
[Sopra•Roosevelt w
2034/2/14 bt AB
US.Air force
624467357
Katholiek]
と記載されていた。小さなアルミの板だ。
「ソプラ・ローズベルト…。」
届けようかとハクは思ったが、パイロットはもう見えなかった。
「成る程、あの化け物共をやったか。大した奴らがいたもんだな。たまげたなぁ。」
水晶でその様子を見ているものがいた。
「まあ正直どうでも良いけどね〜。世界が滅びるとかどうとか、めんどくさい。」
見るからに幼女の姿をした者。その正体を、ましてや存在を知るものすら、この世には数える程もない。
「さーて、あいつら時期にここに来るだろうから、今のうちに寝ておこーっと。」
幼女は棺を開けると、その中に入り蓋を閉じた。