2話
ぼちぼちやってます。ぼちぼち進めてます。
音フェチなので、耳かきボイス聴きながら作業しています。おすすめがあるなら、そちらもご紹介願いたいです…。
「空前絶後の!モケウチ・モケェ!!
アイヨッ!に生き、
アイヨッ!を愛す超絶アイヨッ!!
アァァァァァァイヨォォォォォォォォッ!!(=゜ω゜)ノ」
突然現れたモケという女(?)は、右手を上げて自慢げにアイヨォッ!をする。
「あー…。その、アイヨってやつは何?」
「アイヨォッ!はアイヨォッ!なんだお。それ以外のなんでも無いんだお。(´・ω・`)」
マーリンは深くため息をついた。
「…で、まぁ。私たちは世界平和の為に旅に出てるの。」
「え、そうだっけ。」
「…とにかく、あなたにはできれば仲間になってほしいの。どう?」
「アイヨォッ!!(=゜ω゜)ノ」
「やった!」
モケは快く了承した。
今さらだが、大災厄の被害をここで説明しなければいけないと思う。
それは西暦最後の年。イースター沖東に15㎞、高度700付近に現れた[天使]を中核に発生した天災だ。
核爆発の数倍のエネルギーが放たれ、地殻は乱れ、海面が下降し、人類は70億からわずか30億と半数にまで減らされた。
代わりに現れたのが魔術と、異形と呼ばれたモンスターの類である。モンスターの中には中立の者もいれば、人類に敵対する者もいる。モケはゴースト系のモンスターで、比較的に友好そうである。
また、残された人類も僅かな例ではあるが、[獣化]と呼ばれる現象が発生してしまっている。
ハクや、兎耳族がその一例だ。
「車があれば楽なのに…、電波障害で車が呼べやしないわ…。」
マーリンが愚痴をこぼす。対してハクは楽しそうだ。まるでピクニックに出かけた子供のように。
「別にいいんじゃないの?そんなことよりお腹すいた。なんか無い?」
と、モケが反応した。黒いコートの裏から、紐で結ばれた豚足を取り出した。
「モケ様お手製〜、シュバイネハクセ〜!」
「おおっ!」
シュバイネハクセ。ドイツ料理で、ローストした豚足である。本来家庭料理だが…、
「モケの非常食モケェ。」
との事であった。マーリンとハクはシュバイネハクセに食いかかる。ほのかなニンニクの香りや、マスタードの辛味が絶妙に広がる。
「美味しい!」
マーリンが声を上げた。ハクは夢中になっている。そんな2人を見て、モケは素直に喜んだ。
「アイヨォッ‼︎(=゜ω゜)ノ」
静かな森の中、静かに過ぎる時。この平和が危うい事なんか、誰が予想できるものか。
と、ハクが沈黙を破った。
「そう言えばモケ。あんた、幽霊よね?」
「アイヨォッ‼︎(=゜ω゜)ノ」
「幽霊は、食事する必要あるの?」
「アイヨォ?(゜ω゜)ノ」
「もし食事の必要が無いなら…、なんで豚足持ってたの?」
「モケは元々生きてたモケ。その時に持ち歩いてたモケ。」
ハクは恐ろしい事に気がついた。
「あんた…、死んでどのくらいだった…?」
ハクの腹を、腹痛が襲い掛かろうとした。モケはとぼけた顔でこう言った。
「かれこれ、夏を15回数えたモケェ。」
それが、トドメとなった。
ハク、
ハク!
そこにいるんでしょう?ハク!
…だれ?
誰でもいいでしょう?
良くない。あんた誰?
じき会うことになるわ。
ハク、そんなところで立ち止まってはダメ!しっかりして!
無理。お腹痛い。…あれ?
あなたの腹痛がどうしたの?そんなもの、関係無いじゃない。
ハク、今はあなたが頼りなの。起きて、ハク!
「夢…?」
辺りはすっかり暗くなっていた。マーリンが火魔法を使って、焚き火を焚いている。モケはその火で、どこからか調達してきた豚肉を焼いている、
「あら、起きたの?」
ハクは腹を抑えながら、ゆっくりと起き上がる。」
「お腹、治ってる…?」
「ええ、そうみたいね。途中から顔色良くなってたから。」
マーリンは苦笑する。
「私は友達が作った護符で助かったけど、ねぇ…?」
その苦笑の矛先はモケに向けられていた。
「モケぇ?(´・ω・`)」
「モケぇ、じゃないわよ!あんた人にナニ食わせてんのよまったく…。」
「モケェ…。(´;ω;`)」
モケは反省しているように見えた。
「さて、と。明日の昼には麓の村に着けそうよ。そしたらそこで電話を借りて、ブリテン島まで向かうわ。」
「ブリテン?あの腹黒貴族の島?」
「否定はしないわ。あそこに私の友達がいるの。そこに行けば、これからどうすればいいのかわかるわ。」
「あ、モケそこ無理モケ。モケは留守番するモケ。」
「ええっ⁉︎モケ、なんでぇ⁉︎」
「モケは…、
ドイツ旅行したいモケ。そこにもしかしたら友達がいるモケ。てな訳でドイツに行くモケ。」
マーリンは頭を抱えた。
「早速出会った仲間がぁぁぁ…、」
しかしハクは極めてポジティブだ。
「モケ、お土産、お願い。うまいドイツ料理で。」
「アイヨォッ‼︎(=゜ω゜)ノ」
「さて、次は腹黒貴族の住む島ね…。待ってなさいよ、今その首根っこ捕まえて袋叩きにしてやるんだから!」
「今もうそんなことないと思うわー。」
マーリンはハクの勢いを受け流しつつ、札を取り出した。
「ハーイ、私よ。マーリン。応答して?」
しばらくして札から声がする。
[オーケー。応答したわ。勇者は今どんな感じ?」
「腹痛を起こしたけど、どうにかなったわ。そっちの方はどう?」
[実験用のフラスコ1つ割れた程度よ。問題無いわ。]
マーリンは辺りを少し見渡し、口元に手を当て声を潜めた。
「…シナリオは進んでいるの?」
[もちろんよ。少しづつ、進んでる。こちらが調べたところ、合衆国の航空母艦とその艦隊が全滅したわ。恐らく犯人は、占いの通りだとサンディエゴに4日後に上陸する。]
札の向こうからため息が聞こえる。
[合衆国の工業力はすざましいわ。でも、奴らに勝てる保証はない。だから、できるだけ早く連れてきて頂戴。そうじゃないと、合衆国が滅ぶ。]
「合衆国が滅んだら、シナリオだと…、」
[全世界が混乱し、血で血を洗う世界大戦が始まって、何が何だか理解するまでもなく人類滅亡。もう一度大災厄が発生するわ。]
「でも、為すすべがない、と。」
と、その時。
「マーリン、肉焼けたって。」
「早くしないと冷めるモケ!」
マーリンはハク達にすぐに行くと伝えると、札に注目を戻す。
「…とにかく、任せて頂戴。何がなんでも、連れてくるわ。」
[オーケー。任せたわ。]
ここで会話が終わった。