救われない16day
「……………日……曜日深夜のニュースをお送りします。昨日正午俳優………」
「うるさい止めて」
そう言われ僕はラジオを止める。
「全くここは進入禁止地帯なんだから静かにしなさいよ」
「わかってるっすよ、先輩」
先輩と僕はフリーライターとそのほぼ専属のカメラマンと言ったところだ。今日、というかもう昨日であるが、たった2人で連絡がとれなくなった都市に向かっていたのだ。
「全く警官にバイオハザード警報が出てると言われたのにあるの壁じゃない」
目の前にはビル7階分ほどもある壁が何枚も立ち並び、都市と外を遮っている。まるでなにかを遮るように、立ち入らせないように。
僕の不安をよそに先輩は壁に近づき叩いたり、耳を当てたりする。
「先輩なにかわかるっすか」
「わかるわけないじゃない、ほら写真とりなさいよ」
「わかってるっすよ」
そうしてその壁を写真に納めていく。先輩はいまだに壁を探し続ける。
「どこか入れるところないかしら」
「あるわけないっすよ」
「そうね、って私まで撮らないでよ」
「はいはい、先輩とられるの嫌いっすよね」
「それが嫌でこんな売れないフリーライター何てやってるんじゃない」
「そうっすね、アナウンサーにいった同期が稼いでるって話しはもう何度も聞いたっす」
そんな雑談をしていると。
「」
「んっなにか声しなかった」
「したっすね」
「取材用のレコーダーは」
「携帯で代用するって話だったでしょ」
「ならそれまわしなさい」
その声の主の方を見ると男がひとり。命からがら逃げてきたかのようだ。
「あの取材い」
「助けてくれ、助けてくれよぅ」
「落ち着いてください」
先輩はその男を落ち着かせようとする。
「あの」
「助けてくれ、助けてくれ、た」
男の声が途切れる。
「えっ」
赤くなった先輩が驚いて、そして倒れる。それを見て体が離れようと動くのだが。
「なん、で」
◆◆◆◆◆◆
「処分完了」
「モルモットならびに目撃者、計3名に3発発砲、ってこれ報告する意味は」
「うるさい、黙って仕事しろ新入り」
「はいはい、中のやつは全員殺処分ときた」
「だから黙れ、それにその件は予定だあまり口外するな」
「わかってますよっと、モルモット死亡確認、ゾンビ化なし」
「一応空気感染へと変異する恐れもあるから回収しておけ」
「了解、モルモット回収班へ伝達、モルモットが1匹逃げた回収よろ」
「伝達は」
「しっかりやれってか」
「わかればいい」
そこまで聞いて録音していた携帯を止める、この音声を誰に届ければいいのか、この銃も持てない国で躊躇いない発砲、これは個人に託すしかないが、そんな他者を地獄に陥れるような真似はできない、ならば誰がいいか。
あああいつがいた。そいつのアドレスは登録してあるだからそれを入力して、そう。
「こいつ動いてる」
「わか」
頭が痛い。
「あなた飲みすぎ」
紗枝は何事もないかのようにしている。唯一まともに動くテレビでは朝のニュースがやっている。なんだか久々に見た気がするがどうでもいい。今は武器を手にいれるだけだ。




