宴をする15day
「それでは子供たちの脱出成功とトラック確保を祝い、乾杯っ」
石井が乾杯の音頭をとり、それに続き乾杯の声が続き、グラスをぶつけ合う音がする。宴が始まったのだ。今は立っているが席は石井のそばだ。
急に始まったので驚いたのだが、元々石井達は5日毎に戦えないメンバーである子供や負傷者などを送り出す計画をたてていたのだが、こんな状態になる前に重役だったやつらが駄々をこね、彼らをメインに脱出させたために遅れてしまっていたのだ。だがそれも10日目の地点で脱出、もしくは死んだようなのでやっと計画を実行したそうだ。
「でそんな時にあんたらの帰還だ、それもトラック付きで」
ここにたどり着いた俺達は即座に検査を受けて、石井にどうするかを聞かれ、囮と共に引き渡すと言ったらここにつれてこられた。そして今は酒を飲んでいる。石井いわく、ストレスを溜め込みすぎると問題だからこうやって発散させているとのことだ。
石井は酒に弱いのか、すぐに酔いがまわり、なぜか俺に絡んでいる。紗枝は酒を飲んでいるが酔っている様子はなく、自分も酔っていない、菜々美達はさすがにジュースだ。だが回りを見ると見るからに未成年者も飲んでいるようなのだが、そんなに興味がないから聞かないでおく。
「それでな、やっと大型の輸送手段を確保したから発電所を」
グチグチ言うそれを聞き流しながら、即席ステージで行われているカラオケ大会の歌をBGMにして、酒を飲む。つまみは誰かが作ったつまみだ。
「あなた美味しい」
「紗枝が作ったものの方が美味しいよ」
「やっぱり、わかってたら作ってきたのに」
紗枝はそういうが、流石にお腹が空いているのだろうよく食べている。そんな紗枝を眺めていると、石井に捕まってしまう、適当に聞き流していたのが不味かったのか、相当に怒っている。
「聞いてるのか、第一個人の状態を数値化してくれないのが痛い。不満土なんかがわかればもっと的確にユニットを動かせるんだが、それにそのユニットも命令を正確に実行しないしどうなってるんだ」
グチグチグチグチと。
「そもそも命令を実行しない、働かないユニットを破棄できないなんて、何てクソゲーだよ、くそっ」
「石井様」
「遅かったな」
「申し訳ございません」
「まあいい、ほら最高のユニット褒美だ」
そう言ってグラスに琥珀色の液体が注がれる。
「名称は忘れたが高級酒だ、ストレートがいいんだったか」
「はい」
「そうらしい飲め飲め」
それを飲むと、腹の底から熱くなってくる。そしてなんだろうか熱くはなるのだが、するすると酒が中に入るのだ。だからグラスに注がれた酒は一気に無くなってしまう。
「ふぅぅぅぅぅ」
ウマイ、その一言だけで表すのがぴったりだ。変に単語をつける必要はない。
「なぁ井上、あんたらはこの先どうするんだ」
「どうもこうも紗枝達と一緒に家で過ごすよ」
「そうか、なら依頼料を払うから必要なときは手を貸してくれ、頼む」
それは別に構わないのだが、その前に。
「明日欲しいものを持ち出せるようにしとくさ、何せ今となっては戦略でも重要なトラックを」
そんななか即席ステージで大きな動きが、テレビが持ち込まれたのだ。そのテレビはなにも写さないはずなのだが。
持ち込んだ男がリモコンをつけると。
「夜のニュースです」
テレビがついたのだ。




