ケンカをする7day
「動くなっ」
「あなた」
「紗枝っ」
テーブルを蹴りあげ壁代わりにする、狐達にライフルを向けられているのは何でなんだろうか、お隣さんと言うよしみで壁越しに話しかけてみる。
「貴様ら最上階の女性に何をした」
「最上階の」
誰だろうと考え込むと、答えが出てくる。たぶん菜々美の面倒を見てもらった女性だ。そういえば最近見ていない。
「ああ、で何をしたって」
「FOX4が襲われたぞ、何をしたんだ」
「なにも」
「なにもって、知らないわけがないだろう」
なにも知らないのだ、一番長くいた菜々美に聞いてみる。
「何かしたの」
「ううん、けどまた動かなくなっちゃったからお掃除大変だったよ」
「ごめんな」
と言うわけで菜々美も知らないなら答えようがない。
「知らないぞ」
「ならあの戦闘の痕跡はなんだ」
「あれならおかしくなった人がいたから殺した、でその時にそれを見つけたんだが」
「それって」
狐達は何やら絶句しているようだが、何がおかしいのか理解できない。そこでふと思い出す、おかしくなった男が持っていた謎の映像を思い出した。
「あっそうだ、あのシミュレーターの映像が保存されてたけどさ」
「今はそんな話をしてない」
「ならなんなのさ」
「次に聞こう、彼女が言うダーリンとあの肉片はなんだ」
知るかよと言い返したいが、狐達は何かを否定して欲しい顔をしている。
「いやそれも知らないんだが」
「嘘をつくな」
「夫が嘘をつくと思ってるの」
「パパが嘘をつくなんて、あっあった、パバ帰り遅くなったよね」
「なら聞かせてやろう、あの肉片は彼女の大切な人だったのか」
「さぁ」
知らないものは知らないのだから仕方ない、がもし狐達が言うことが正しければ彼女が壊れるのは理解できる。
「紗枝、彼女を殺さず止められる」
「いいけど、あなたもしかして」
「浮気じゃないよ、けどさ狐達が言うことが正しいなら気持ちはわかるし」
「…………………そうね、私もあなたがもし死んじゃったら」
紗枝が泣き始める、菜々美もだ。
「パパ、ママ居なくならないよね、居なくならないよね」
「当たり前だよ」
「居なくならないように動けなくした方がいいかな」
「いくら菜々美でも」
「ママも動けなくしたら」
紗枝と名波がお互いに武器を向け合う。
「ふたりとも止まって止まって、ふたりが傷つけ合うところなんて見たくないよ」
その言葉でやっと落ち着く、自分も持っていたスコップを下ろす。
「じゃあ止めにいこうか」
◆◆◆◆◆◆
そう言う訳で10階へと来たのだが。
「ダーリンねえなんで、ダーリンねえってば、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン」
彼女が出す声は。
「まああれくらいは普通だな」
「そうね、止める必要あるのかな」
だがまあ近所迷惑なので注意する必要があるだろう。




