8/361
序章
川中が腕組みをすると、他の連中も黙った。ここでのこの夜の会話はここまでであった。
しかし、その夜花川宅では・・
「・・っとに!あのうすのろ!」
家に戻って来た花川美里は、乱暴にショルダーバックをソファーに投げつけた。
「おい・・おい」
TVを見ていた父親(哲茂)が驚き、振り向いた。口髭を蓄えた身なりの立派な人物だ。
「・・あら、パパ家に戻っていたの、今日は随分早いのね」
「ああ・・。しかし、お前も嫁入り前の娘なんだからさ・・」
「ふふ・・御免なさい。あ!パパ、私、今からシャワー浴びるから後から一杯、どう?」
「良いね」
父親がにこりとすると、美里が奥へ。父親がテーブルを片付け、楽しそうに酒の支度を始めていた。しばらくして、着替えて髪を乾かした美里が居間に入って来る。