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変化
「それも初耳だわ。好々爺で全く怒り顔なんてしない人だと思ってた、内山さんて」
「はは。とんでも無い。凄く短気な人で、一端怒ると烈火のようだったんだよ。今は勿論違うけど。あ・・これは鳩競翔に関しての話だけどね」
川中が笑う。まるで今の内山からは想像出来ないと美里は思った。
そして話を続ける。
「葉山君はね、今もそうだけど、完璧主義者なんだ。それは、磯川氏に相通じる所もあると思うが、対して内山さんは連合会一の愛鳩家で通して来た人だ。競翔を始めて何も知らない男が、競翔とは一等を取る事だと、どんどん競翔に選手鳩を投入する。見るに見かねての言葉だったんだ。しかし、葉山君が言うように、所詮競翔とは順位を競うものだ、それ故に血統をどの鳩舎だって重視して導入して飼ってるじゃないか、どこが間違っているのかと。確かに正論だ。しかし、内山さんは、激しくその非をなじった。間違っていると」
「いやあ、赤面しますよ。今持って・・花ちゃん内山さんがどう言ったか分かるかい?」
「・・いいえ・・」
美里には答えは分からなかった。




