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序章
葉山が答えた。
「ヤマさん可哀想ですよ。良い人なのに」
長身の脇が言うと、背が低くやや赤ら顔の田辺も頷く。
「何とかしてやって下さいよ、川中さん」
「・・私もそうは思っては居るが、現実的には放鳩車の中でのヤマの鳩と紅竜号の状態だろうなあ・・」
「ふう・・花ちゃんの目には只一人の男性しか存在しないって事か」
葉山が嘆息しながら言うと、
「只一人って?先生(葉山)」
脇、田辺が聞く。
葉山が答える。
「花ちゃんはなあ、かの香月一男博士しか目に入って居ないって事だ」
「ええっ!だ・・だって、香月博士と言えば、世界的な動物学者で、美人の奥さんも居るし、子供だって・・」
脇と、田辺が驚くが、