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オモト
微笑みながら内山が言う。
「・・証・・ですか?」
「そう。確かに実に難しい事だ。競翔家は時として過酷な競翔に自分の愛鳩を参加させねばならない。誰もそうだろう、自分の家族の一員として育てて来た愛鳩を失うのは辛い事だ。競翔を知らない者は言うだろう。可哀想な事をするもんだと。しかし、今日は戻って来ていないか、まだか・・と鳩を待つ競翔家の気持ちを理解する者は居ない」
「・・・はい」
「花ちゃん、競翔とはそう言うものだ。だから、会員相互で情報を出し合って、血統の事を論じたり、時には助言もする。花ちゃんの鳩は滅多に手に入らない銘血の仔。たった3羽でスタートした鳩達を今まで400キロ止まりではあるが、一羽も落語させていないなんて立派な事じゃないか。自分の信念は貫いたら良い。それで壁に突き当たったら、いつでも周囲は助言してくれるよ」
「はい・・有難う御座います」
内山はしばらくして帰って行った。
美里の心にも、少し変化が起きようとしていたこの日の事だった。




