序章
「おいおい、花ちゃん。ヤマだって、最近色んな血を導入して頑張っているんだぞ?今年はなかなか良さそうだし」
そう言って苦笑いしながら仲裁に入ったのは、連合会会長である、川中吉郎であった。実はこの山川静雄、当年とって28歳、大柄だが気は優しくて力持ち、後輩の面倒見も良くて、ヤマさんと慕われている人物。市内、花屋さんの若主人。紹介が後になってしまったが、花川美里、当年24歳のピアノ教室の先生をしている。
その後、川中会長宅では数名が集まり、楽しく鳩談義を交わしていた。その中に花川と、山川の姿は無かった。
川中会長宅に集まったのは、63歳ベテラン競翔家の内村方正。口髭を蓄えた小柄な人物だ。そして学生競翔家、長身の脇信郎、同じく学生競翔家、田辺栄介。共に高校3年生、2年生で熱心で、中堅以上の実力のある者だった。そして遅れて川中宅へ訪れたのが、歯科医を営む強豪と名高い葉山 治。スリムでダンディな人物だ。以上の5名。紹介方々本題に入る。
「いやはや・・ヤマも可哀想だ。ああ、つんけんに花ちゃんにやり込められちゃあなあ・・」
川中が苦笑しながら言うと、
「ヤマの奴が花ちゃんに気があるだけにねえ・・見ていて胸が痛みますわ」