192/361
競翔
「じゃ、時間も遅いから、家までなら」
「済まん」
美里にも、山川達にも頭を下げた瀬山だった。
車中・・
「どうしたの?瀬山君・・電話の件?」
「ああ・・やっぱり、直接頼んだ方が良いと思ってね。合同会場では声を掛けられ無かったから」
それで・・放鳩車が出発するまで待っていたのか・・なら皆が忙しくしてるのに手伝ってくれたら良いのに・・美里は思った。瀬山は審査委員の要請を山川から受けて、多忙を理由に断っている経緯がある。以前、山川が少し渋い顔をした事に繋がる。それ故に、今回手伝いを積極的に参加しなかったのである。
瀬山が一枚のパンフレットを差し出した。
「まあ・・これ・・」
それは、結婚披露宴の席次表であった。