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競翔
美里は、信じられる現実の方に即座に反応していた。
「でもね、花ちゃんの鳩がダントツなのは変わりが無いよ。100キロ優勝、150キロ5位の鳩だよね?」
「ちょっと待って・・私一言もそんな事・・言って無いわよ。」
美里は山川には、詳細を喋っては居なかったから、驚いた。
「いや・・100キロレースの高分速と、今回の高分速は、殆ど同じだ。スピードバードでなきゃ、絶対出せない分速だよ。違うの?」
「・・・違わない・・同じ鳩よ」
「やっぱり・・花ちゃん、凄い鳩を手にしたようだね。今春に」
「え・?」
「あ・・もう時間が余りないや・・又後で!」
山川がもう少しして出発しないと、開函時間に間に合わないと、告げ慌てて電話を切った。思わぬ長電話をしてしまったと、美里も支度を整えて、慌てて川中会長宅へ車を走らせた。