160/361
競翔
「花ちゃん、血統だよ、血統。何と言っても、超銘鳩白竜号と、ネバーマイロード号の血筋。今まで力を発揮しなかったのが不思議な位だよ」
・・・血統・・そうだろうか?美里は思った。なら、どうしてこれまでの3年間活躍しなかったのだろうか・・。今回の活躍はむしろ、山川から託された血統に因るものの方が大きいのでは・・と。
「ところでさ、花ちゃん、小耳に挟んだんだけど、最近花ちゃんのピアノスタジオで、ジャズセッションをやってるんだって、本当かい?」
美里が少し驚いた。
「・・どこでそんな話を?」
「知り合いに聞いただけさ。やっぱり本当なんだね?」
美里が頷いた。
「それなら、今度セッションやる時教えてくれよ。聴きに行くから」
「駄目よ、それは困るわ」
「どうして?」
意外そうに目を丸くして瀬山が尋ねた。