競翔
「今、俺が持ってる情報だと、殆どの鳩舎が7時10分頃前後で、それが優勝争いだって言う事だよ。うわ・・今から確認とって又電話するね!」
山川が慌てて電話を切った。まさか・・ねえ・・美里は鳩舎を見回した。どの鳩も平然として餌をついばんで居た。内山からも電話が入った。内山は近距離はタイムをしないので、美里の所が全鳩帰還してると言う事で、タイムの事は全く聞かずに電話を切った。
そして、9時過ぎてから少し遅めの朝食を取っていた美里に、又電話が鳴った。山川からの電話だった。
「花ちゃん・・君・・優勝してるよ。きっと。葉山さんの所でも7時5分だそうだよ、一番手が。瀬山も早いらしいけど、その前後だ。ありゃあ・・今春は内山さんに花ちゃんが良く色々聞いてたから、俺も全く君の鳩は見て無かった。」
「いえいえ・・アドバイスはちゃんと頂いたわよ。でも・・優勝って・・・うふふ、有り得ないって感じよ」
美里は全く実感が無いので、冗談だろうと笑った。
「まあ・・全部の鳩舎の情報を聞いた訳じゃ無いけどね。でも、ダントツで早いのは間違い無いよ」
山川がそう言って又電話を切った。又電話が鳴った。瀬山からだった。