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競翔
「勿論瀬山君は、最終レースの900キロまで参加するつもりだろ?」
「その・・つもりです」
「おいおい・・」
内山が呆れたような顔で笑った。
「何か・・?」
瀬山の顔が硬直した。
「若槻ゴードン系の優秀さは知ってるさ。なあ、瀬山君よ」
「は・はあ」
「若槻さんの所と、この香山連合会の地理的条件の違いは知ってるよな」
「知ってますよ、勿論」
瀬山がムッとした。
「そのスピード系を敢えてこの香山連合会で使翔するのに、どんな事を主眼においてここまでやって来たんだ?」
「若槻ゴードン系はオールマイティな血統です。早熟で、短距離からもスピードがあり、長距離に強い血統ですから、若鳩時にはどんどん使翔するべきだと考えてます」