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演奏会
「あ・・・いえ、所詮自己流ですから。ただ・・助言をして下さった方は居ます」
「あら・・どなたかしら、その方は」
「申し訳ありませんが・・」
美里は名をあげる事を拒んだ。
「まあ・・言いたく無ければ結構だわ。じゃ・・今日はご苦労様」
美里は頭を下げて退室した。その松尾の部屋では・・
「先生、桐生さんと言い、花川さんと言い、松尾会の結束を乱す方には、除名処分をすべきです」
咲川が憤然として言った。しかし、松尾は、
「桐生さんなら、退会届を貰っているわ。でも、花川さんは面と向かって反旗を翻している訳じゃないから」
「先生!」
咲川が甲高い声を発した。