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演奏会
「どうしたの?花川さん、今日の選曲は」
「急遽前日に差し替えたらしいわよ。ポロネーズ」
「どうして?」
「さあ・・」
「松尾先生かんかんよ。勝手だって」
「そりゃ、そうでしょう。この発表会は個人コンサートじゃないんだから」
「あら・・でも、花川さんにショパンのポロネーズを指定したのは松尾先生だって聞いてるわ」
桐生と言う、門下生の師範の一人が言った。しかし、
「何言ってるの。先生は、こう言う曲はどうかしらって、勧めただけでしょ?」
間髪を入れずに松尾門下生でも筆頭である咲川が言う。
「そう・・かしら?」
桐生が再び言葉を返すと、
「ちょっと、どう言う意味なの?桐生さん、それって」