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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第一章〜いくら書き始めとはいえ設定の紹介だけで一章丸々使うのはどうかと思うんだがどうだろうか?とモブ
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人材派遣部(仮)とモブ

ようやくお昼も終わって、部活棟へと急ぐ四人。部活棟三階の一番奥の部屋が[人材派遣部(仮)]の部室だ。


人材派遣部(仮)とは、一口で言うと[各部活に人材を派遣して、その内容に応じた枚数の食券を報酬にもらう]という部活だ。正規部員はその事務処理、非正規部員は言わば派遣社員である。


内容は多岐にわたり、運動部の助っ人から部室の掃除まで、それぞれの依頼に合った人材運用で中々に好評だ。もちろん学校側には報酬の件は秘密だ。書類上の建前として、社会の仕組みの勉強だとか頑張っているみんなを応援したいなどなど、綺麗事を書き連ねた申請書を週刊誌並の厚みで提出して受理された。


「お前ら遅いぞ」


部室に入って最初に声をかけてきたのは飛島翔だった。


「あれ?今日は正規部員の会議だろ?なんでいるんだ?」


運動のスペシャリストの翔は、非正規部員のエースにして稼ぎ頭だ。


「今日の派遣先の確認に来たんだよ。んでついでに今後のスケジュールの確認をな」


日替わりで色々な派遣されている翔にとっては、スケジュール管理は大事な事だ。そしてそれこそが、この部活が生まれた一番のきっかけと言っていいだろう。それまでは何度もブッキングして身体を壊しそうになっていたので今や必要不可欠と言える。


「わざわざ来てもらって悪いけど、今日はどこも練習だけだから翔とフィオは休みだ。昨日メールしたはずだがな……」


呆れた声でそう言ったのは智だった。他にも姉の礼那とフィオ、遥香がいた。


「お?誰々そこの可愛い子は!俺のファンの子!?」


巫女を見るなり翔が食いついた。突然言い寄られて巫女が引いてるので、武流が兄らしく毅然と翔に言った。


「うちの妹だよ。見学に来たんだ」


「モブ男の妹?……鑑識班!至急DNA鑑定だ!モブ男の嘘を暴く!」


「なんでだよ!俺に妹がいちゃいけないのか!」


「絶っっっっっ対に義妹だろ!」


「失礼すぎるわ!」


部室の入り口でそんな感じのコントが終わって、やっと大和たちも部屋に入った。そこで声をあげたのはフィオだった。


「あっ!ヤマト〜!さっきぶり〜!今年は同じクラスだネ!嬉しいネ!」


フィオは大和のことが好きらしい。フィオに比べたら大和はどう考えても釣り合わないはずなんだが、誰かが理由を聞いたら……


「ワタシと話をしててオッパイを一回も見なかったのはヤマトだけネ!だからヤマト好き!」


という事らしい。それが好きとどう繋がるのか理解に苦しむが一つだけ言えるのは[大和凄いな]だ。あれだけのモノが目の前で主張してきたら、健全な男子なら見ないはずがない。それだけの破壊力がある。


「お兄ちゃん!なにあの胸にスイカ入れてる人は!?大和兄ちゃんにくっつきすぎだよ!」


巫女が涙目で武流に訴えかける。


そんなドタバタに業を煮やした礼那がバンッと机を叩いて騒ぎを止める。


「うるさいぞ!寝られん!」


まだ寝ていたらしい。


「違うでしょ津島さん!会議するんでしょ!?」


珍しく千種が突っ込む。


「む……そうだったな。基本うちでは正規部員でも参加は自由なんだが……大事な案件があってな。メールさせてもらった。」


「ああ、そう言えば今年は凄いな。正規部員全員同じクラスだもんな。こんな偶然あるんだな」


「去年バラバラで不便だったからね。集めさせてもらった」


……しれっと凄いことを言ったのは智だった……


「……ハッキング?……」


「勉強不足だな、翔。この場合はクラッキングと言うんだ。ハッカーは改ざんはしないからな」


「改ざん認めちゃったよ!なにしてるんだ!」


「別に大して苦労はなかったよ。そもそも学校の管理システムは僕が作ったんだからね。」


「改ざんに対しての反省がない!それどころか自慢してきやがった!」


翔のツッコミは今日もキレッキレだ。


「そんな小さなことはいい。会議を始める。席につけ」


小さくないだろという皆の心の声はともかく確かにこのままでは始まらない。各々席につくのだが……


部屋の入り口から奥に向かって長方形に置かれた長机の最奥中央には、部長である礼那。その横には副部長たる智が座る。ホワイトボードの前でもある。武流と翔は適当に座るのだがその後が大変だ。


大変の中心、大和が適当に座ると、ずっと大和にくっついているフィオが左隣、右隣には普段のおっとり加減からは想像もつかない速さで遥香が陣取る。


そして「あら大和さん、よく隣になりますねぇ。別に狙ってるわけじゃないんですよ?」ここからは小声で(今日も大和さんの近くに座れて良かったです)


「遥香さんなにか言った?」大和が言うと


「な!なんでもありません!」と遥香。


なんと意外にも遥香は軽いツンデレだったのだ。


そして、大和の正面には千種がさりげなく座る。今にして思えば必ずそこは千種が座っていた気がする。完全なる大和シフトだ。新参者の巫女の入る隙は一ミリたりともなかったのだった。巫女は泣く泣く千種の隣に座る他なかった。


「なぁモブ男……あれ大和は本当に気付いてないんだよな……」


「あぁ……誰が見ても大和ハーレムなのにな……」


大和はどうやらギャルゲー主人公の素質があるようだ……


「さぁ会議を始めるぞ!議題は[この部の名前を決める]だ!」


「「「なにぃ!」」」

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