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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第七章〜秋と言えばやっぱり文化祭だよね!?そんな事無いと言われても始めてしまったんで諦めて欲しい!とモブ
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文化祭終了とモブ

朝日の絶叫もひと段落してすぐ後、今度は更衣室から八人のピンクメイドが現れた。


ミス名北上位の面々は、礼那達と同じく、インナーが白のピンクメイドという基本を、それぞれのキャラに合わせてカスタマイズしていた。


「湊!その衣装は聞いてないぞ!スカート短過ぎだ!」


そう、湊の衣装はスカートがかなり短くて、普通に立っていても見えるか見えないかギリギリのラインだ。フリルが多くて、しかも実際には絶対にパンツは見えない作りらしいのだが、それを知らなければ十分に扇情的と言える。


「武流君が好きだって聞いたから……恥ずかしいけど頑張ったんだよ?」


「まあ……湊のそれは大好きだけども……」


「それならよかった」


湊は照れながらも笑顔だった。


いつものバカップルはいつも通りだとして、他の子も見てみよう。


まずは岩倉美玖。白いチューブトップのインナーに、丈の短いピンクのカーディガンでヘソ出しだ。文句を言っていた割にはヘソを褒められて嬉しかったようだ。


遥香は色の基調はみんなと同じだが、正統派のメイド衣装で素材が他とは段違いなのが遠目からでもわかる。


フィオも基本的な部分は遥香と変わらないのだが、その圧倒的な胸を更に強調した作りになっていた。


他の子も同様に、キャラに合った衣装で中々に好評だったのだが、キャラには合っているものの問題はこの人、魅華だ。外側はキチンとミニスカメイドだ。背中が大きく空いているのも許容範囲と言えるだろう。だがインナーがおかしい。


本来であれば、首から胸元にかけての部分や袖。スカートの下のフリルやニーソ、ハイソといった部分が全く見えないのだ。


事実他の子は、少なからず何処かにインナーが見えているのだ。超ミニの湊でさえフリルが見えているというのに……


これにやはりと言うか反応したのは徹と忠臣だ。


「お前なんて格好してんだ!露出狂か!」


「姉さん……さすがにそれはNGだよ……」


「あん?年齢的にはオッケーだろうが。中もちゃんと着てるよ。ほら」


そう言って魅華は胸元を広げてスカートをめくる。実際に着ていたのは白のビキニなのだが、そのポーズと相待って下着にしか見えなかった。


「アウトだアウト!倫理的にNGだ!」


「水着でもか!?」


徹の言った[アウト]は、本当は徹自身の理性の面でアウトなのだが、これに気付いたのは忠臣と武流だけだった。


そこへ、さっきまで打ちひしがれて座り込んでいたはずの朝日が口を挟んできた。


「アウトです。ここは風俗店ではありませんよ先生。文化祭実行委員の方!いますか?」


言いながら朝日は、実行委員に魅華を委員会に更迭するよう指示した。


「じゃぁ営業を続けるぞ!残り時間、みんな頑張ってくれ!」


礼那が事態の収拾を図り、なんとか営業を再開した。


「というわけで朝日。ウエイトレスが一人減ってしまったので代役を頼むぞ」


「ちょ!私のせいじゃないじゃない!なんでよ!」


朝日の当然の抗議に、礼那は今日何度目かの奥の手を使う。


「お姉ちゃん……お願い……」


俯き加減で瞳を潤ませ、朝日の服の裾をちょこんとつまむ礼那。もちろん朝日はノックアウトだった。


こうして、まんまと朝日をウエイトレスに仕立て上げ、大盛況の中で文化祭が終了した。


ちなみに、魅華にあの格好をさせたのは礼那だった。朝日を駆り出す為の手段の一つ程度の策だったが、しかし礼那本人もあそこまで簡単にいくとは思っていなかったが……


そして文化祭終了式。講堂の壇上では生徒会長尾張朝日が終了の挨拶と、各賞の発表をしていた。


「……では次に、本年度から新たに設けた[生徒会奨励賞の発表です。受賞団体は、今演奏中の吹奏楽部です!」


吹奏楽部は、この学校の創設時から続く伝統のある部で、文科系では一番多くの部員を抱える部であった。


今年の文化祭では、部員が多い事を利用し、[リレーマラソン演奏会]と称して二日間フルオーケストラからソロに至るまで、入れ替わりでずっと演奏し続け、学校中に配信するという大仕事をやってのけてしまったのだ。


なので、この受賞は当然どころかもっと評価されるべきだと言えた。


「そして今年度の映えある優勝団体は!演劇部と有志団体による[ロミオとジュリエット]でした!」


会場中から拍手が起こる。だが、複数人が納得いかないといった顔だった。朝日のすぐ目の前に陣取ったS.T.A.F.F一同もだ。


すかさず礼那が声をあげる。


「意義ありだ!得票数の公開を要求する!公開しなければ公正とは言えない!」


「却下します。細かい得票数は後日、各団体に配布します」


ニッコリと微笑みながらやんわり棄却。


「ちなみに津島さん。あなたの所は重大な倫理違反があった為エントリーを取り消しました」


「なんだと!?」


叫びながら礼那はちらりと智に目配せした。智はすぐに察して頷きながらノートPCを開く。


「重大な倫理違反とはこれの事か!」


礼那は大仰に手を振り上げ、朝日の後ろの大きなモニターを指差した。それを見た全校生徒がモニターに目を移す。


するとドンピシャのタイミングで智が画像を映し出す。ボンテージメイドの朝日を。


それと同時に、講堂全体が揺れた。感嘆と悲鳴の入り混じる声と共に。


「………いやあーーーー!やめてーーーー!!!」

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