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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第一章〜いくら書き始めとはいえ設定の紹介だけで一章丸々使うのはどうかと思うんだがどうだろうか?とモブ
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まだ初日のお昼とモブ

「武流〜」


大和と千種が武流の机に近づいてくる。


「今日部活前にお昼食べて行くよね?一緒に食べよ〜」


今日は昼で学校は終了、部活前の腹ごしらえは当然必要なのだろうが武流の返事は


「いや、なんか今日はメチャメチャ疲れたから帰ろうかなってな……」


「そうなの?でも武ちゃん、津島君から招集メール入ってたよ?ほら……」


そう言って千種がケータイの画面を見せてくる


[人材派遣部(仮)正規部員に通達。重要案件の会議を行うのでH.R終了後に部室に集まるように]


「ね?行かないとどんな内容でも後から絶対変更してくれないよ?」


「マジかよ……今日はココ○チ気分だったのに……」


「まぁまぁ仕方ないじゃない。僕ら流されるタイプだしね」


大和も自覚はあるらしい。事実この三人、揃って強い流れには逆らわないタイプだった。


「……そうだな……じゃぁ巫女に先に帰るようメールするから先に食堂に行っててくれ」


二人が食堂に向かうのを見届けて武流は巫女にメールを打つ。


なぁ武流


「なんだよ……今メール打ってるところだし、お前と喋ってると変人扱いされてしまうんだが……」


お前ってどこまで聞こえてるのか気にならないか?


「そりゃまぁ……今のところ自分の周りのことしか聞こえないけど……でも遠くの会話、安城と岡崎の会話とか聞こえたけど確かにナレーションなら俺の近くだけじゃないはずだよな」


周りから見たらはっきりした独り言みたいで気持ち悪いな。


「仕方ないだろ!お前の声俺にしか聞こえてないんだから!」


うっかり大きな声で突っ込む武流。恐る恐る周りを見渡せば、ざわめきと共に明らかな変人扱いの目を向けられていた。


(視線が痛い!)


じゃぁ実験してみるか


「実験?」




ー5分前の女子トイレー




「ぶはっ!なんてとこ行ってんだよ!」


ふむ……別の場所、別の時間でも聞こえる……か……




女子トイレで三人の子がメイク中だ。同じクラスの確か……豊田、豊橋、豊川だったか。ギャル系の彼女らが放課後繁華街に繰り出す準備をしながら……

「うちのクラスの男子どぉよ」

「ん〜面白いんだけど彼氏には無いわ〜」

「あいつは?岡崎、軽そうだしそこそこイケメンじゃん?」

「オプションに先生がいるからね〜厳しいかな。イケメンっつったら津島は?」

「……言わないで……まだ現実を受け入れるのに時間がかかるわ……」

「……うん……ごめん……」

「じゃ……じゃぁ他は?飛島?って人種が違いすぎるって?あはは!」

「わかってるなら聞くなよ」

「あと目立ってたのは……なんだっけ、モブ男だっけ」

「一番無いわ〜!」

「ないない!」




「……俺の心の耐久力実験ですか?あとやっぱり名前覚えられてないし……」


いやいやもうちょっと




「……そ……そうだよね〜適当に名前出しすぎ?私?あははは……」(私は嫌いじゃないんだけどなー……けど話合わせた方がいいし……)




「なに!?最後の!ドッキリ!?」


にやけた顔が腹が立つが……最後のは心の声と言うか考え?よかったな。お前みたいのでも女子に気にかけてもらえることも一生に一度はあるんだな。


「嫌な言い方するなよ……そんで?!三人のうちの誰だったんだ?!」


ストーリーに関係無いから言えないな。三分の一のロシアンルーレットに賭けてみれば?


「なんだよ!俺がモテるのがそんなに気に食わないのかよ!」


そんなことよりも!実験で分かったのは、一、ストーリー上必要なシーンであれば場所も時間の概念もある程度捻じ曲げられること


二、ストーリー上必要であれば心の中も聞こえること


三、武流に伝わるのは文面……言葉だけであること


以上のことからザックリ言うと、武流の立場は小説の読者目線だと言えるな。


「読者?それじゃぁこの先延々つまらないかもしれない小説が頭の中に入ってくるってことか?」


つまらないとか言うな……簡単に言うとそうだな。面白い事が起こればずっと聞こえるし、なにも無ければ次に聞こえてくるのは死ぬ間際だってあり得るな。まぁなんだ……頑張れ!


「他人事か!」


だって私は仕事を全うするだけだしな。


「マジか〜頼むからサスペンスにシフトとかやめてくれよ……」


相変わらず妙にすんなり受け入れるな。ところでさっきからケータイが鳴り続けてるんだが


「ん?うわ!着信52件メール13件って!……全部巫女からか……お?あいつら合流したのか」


すぐ行った方がいいな。


「お前が引き止めてたんだよ!」


すぐさま食堂に向かう武流。


「お兄ちゃん遅い〜!」


食堂の前で三人が待っていた。優しいキャラの大和と千種もちょっと呆れている。


「すまんすまん。ちょっとあのあと色々あってな」


「そっか、それじゃぁお昼にしようか。武流待ってたら余計にお腹減っちゃったよ。」


「ずいぶん混んできたね。武ちゃん、私席取りしておくから。今日はサラダセットとオレンジがいいなぁ」


女の子をこの混雑の中に入らせたくない、と言う大和の意見で手分けすることにしている。


「巫女ちゃんも席取りお願いね。何が食べたい?」


大和はさりげなく紳士だ。この辺が武流との差なのだろう。


「私はまだよくわからないから千種お姉ちゃんと同じのにする〜」


「わかったよ。席よろしくね」笑顔で応える大和


この学校の食堂は食券制で、上から二千円、千円、五百円、百円分でS、A、B、C券と呼ばれる。だが大体のメニューはC券だけで事足りる程格安だ。S券などは部活単位の団体さんか本格フレンチのランチでも無ければまず使われることはない。種類も豊富で常時200種類から選び放題、しかも美味いときてるからこの学校の生徒はほとんどが食堂を利用している。


「武流今日は焼肉セット?奮発したね〜」


それでもC券4枚、やはり格安だ。


「まぁたまにはな」


「いいの?お兄ちゃん。今夜焼肉ってお母さん言ってたよ?私の入学祝いで」


「なんだと!?俺の時はス○キヤだったぞ!?なんで巫女だけいつも!……」


「日頃の行い?」


「くっ!あいつらは……いい加減グレるぞ……」


もちろん武流にそんな度胸はなかった。


「まぁまぁ早く食べて部活行こうよ。巫女ちゃんも見学に行ってみたいってことだしさ」


「そうなのか?巫女」


「うん。ちょっと興味があって……」


珍しく歯切れの悪い返事。そのワケは……


(大和お兄ちゃんと同じ部活がいい。なんて恥ずかしくて言えないよぉ)


途端、武流は思わず立ち上がり椅子を倒してしまった。


「武ちゃんどうしたの?急に立ち上がって……それになんか複雑な顔してるよ?」


妹の幼馴染に対する恋心を、ハッキリ認識させられた武流の複雑な心境が、顔に出ていたらしい。流石は幼馴染、すぐばれてしまう。


「いや、ちょっと考え事で……」


「早く食べよ。智君たちきっと待ってるよ。」

ご指摘いただいた箇所の修正しました。あと一部少し表現を変えてみました。

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