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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第七章〜秋と言えばやっぱり文化祭だよね!?そんな事無いと言われても始めてしまったんで諦めて欲しい!とモブ
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ミス名北発表とモブ其の二

『第五位は!一年C組、S.T.A.F.F所属!茂野巫女![天真爛漫を絵に書いたような子][可愛さアイドル級]などなどのコメントが大半を占めていました!』


この結果に武流は複雑な表情をしていた。照れ臭いのだろうか。


「……なんというか……」


そんな武流の様子に湊が突っ込んだ。


「お兄ちゃんとしては複雑かな?」


「いや、本性がバレてないんだな、と……」


「素直に喜びなさいよ……」


湊は呆れ顔でそう言った。


グラウンドでは巫女と大和が二人でモニターを眺めていた。どうやら二人はデート中らしい。大和は幼馴染のお守りくらいの感情しか無かったが。


(巫女……報われないな……)


「おめでとう巫女ちゃん。今のお気持ちは?」


大和は、レポーターがマイクを差し出すジェスチャーをした。すると巫女は、照れた顔で大和の顔を真正面から見て呟いた。


「私は……大和お兄ちゃんに見てもらえればそれでいいかなって……」


巫女としては精一杯のアピールだったが、そこは鈍感男大和、言葉の真意に気付くわけもなかった。


『続いて第四位!僕の女神!愛しのマイシスター!津島礼那!この順位は納得いかない!』


「私情を挟むな馬鹿者!クラスと所属はどうした!」


いつの間にか帰って来ていた礼那が智に怒鳴る。モニターにはこれまでの映像とは段違いの画像処理の施された、寝顔や楽しげに笑う動画の他に、明らかな盗撮写真が次々と映し出される。これには流石の礼那も真っ赤になってしまった。


「お前!これは出すなとあれほど……待て!いつの間に撮った写真だこれは!?」


「へぇ……礼那ってこんな顔もするんだぁ……可愛いのね……」


「うわぁ……こんな格好……可愛いわ……」


湊と桃花がニヤニヤしながら横目で礼那を見ると、智に殴りかかる気力も削がれたのか部屋の隅でしゃがみこんでしまった。よくよく見ると耳も顔を隠している指先までも赤く染まっていた。


『そしてコメントは、[踏まれたい][激しく罵倒されたい][ランドセル背負って欲しい]などなどわかりやすい性癖の持ち主ばかりです!ちなみに今回の投票は、生徒からの一人一票のみのはずなのに外部の人間が一人で二千票も送って来ましたが、全て無効とさせていただきました!』


「なんですと!?それでは私には投票権は初めから無かったという事ですか!?」


弥富だった……


(うん……そうだろうと思った)


周りを見渡せば全員が頷いていた。


『続いて行きましょう!第三位!二年E組、S.T.A.F.F所属!春日井遥香!貫禄の安定感だ!コメントは、[笑顔が癒される][フワフワな空気に癒される]と言った癒しを求める疲れた現代人のようなコメントばかりでした!』


「流石は遥香!やっぱり可愛いものね!女の私でも惚れちゃいそう!」


「大袈裟ですよ湊さん。それに……私はたった一人にさえ振り向いてもらえないんですから……」


遥香は俯いてしまった。例え何人の人に認められようとも本当に好きな人に振り向いてもらえなければ意味がないという事だ。


「女の子ね〜遥香、可愛いな〜」


湊は遥香に後ろから抱きついてスリスリしている。美少女二人が戯れる様は見ていてほのぼのしてしまう。


『第二位は!二年E組、S.T.A.F.F所属!フィオーレ=ロッソ![元気な笑顔でこっちまで元気になる]や[ダイナマイトボディが素晴らしい]と言った内容で、改めて人気の高さを認識しました!』


モニターのフィオは学校指定の水着のはずなのに、何故か周りと同じに見えないほどのボリューム感満載の映像が映し出されていて、ファン以外の人からも歓声が上がっていた。


「やったネ〜!嬉しいヨ!ネーヤマト!……あれ?ヤマトは?」


「……かなり前からいなかったんだけど……なぜ気付かない?」


「チェ〜、ヤマトってメイドさんあんまり好きじゃないのかナア?」


「フィオ!スカートめくっちゃダメ!今中継されてる!」


桃花の声にモニターに目をやると、ギリギリスカートの中が見えない角度で中継された。


慌てて湊と遥香がフィオのスカートを押さえる。だがフィオは少し困り顔で笑っているだけだった。


「危なかったネ〜でも見えちゃったらしょうがないネ!」


こんな調子だ。湊と遥香が呆れ顔でふと顔をあげると、男子全員の首が不自然な角度で後ろを向いていた。


「……見たわね?……」


桃花が男子を問い詰めると、全員が同時に否定した。


「いえ全く見てません!」


『それでは第一位の発表です!が、皆さんもうお分かりでしょう!今年のミス名北は!三年A組!我が校の生徒会長!尾張朝日!』


ここで朝日が武流のクラス、イベントブースに登場した。礼那の用事とは朝日を迎えに行く事だったのだ。武流のクラスはもとより学校中から拍手喝采が起こった。


『さあ!ミス名北にインタビューしたいと思います!尾張先輩。おめでとうございます。今のお気持ちは?』


『はい、まさか一位になるとは思っても見なかったので素直に嬉しいです。投票してくださった皆さんに感謝します。ありがとうございます』


『はい謙虚な生徒会長、尾張朝日先輩でした!皆さん改めて盛大な拍手をお願いします!』


学校中に拍手が鳴り響いて、文化祭初日の演し物は全て終了した。

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