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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第七章〜秋と言えばやっぱり文化祭だよね!?そんな事無いと言われても始めてしまったんで諦めて欲しい!とモブ
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文化祭開幕とモブ

文化祭か始まった。武流のクラスは元々校内でも人気の高いクラスだけあって、朝から大盛況だ。更にオープニングから美少女を揃えているから混雑も頷ける。


衣装は、女子は黒と白を基調にしたメイド衣装で、派手さは抑え目の膝丈スカートで程々にフリルがあしらわれていて、上品な可愛らしさを演出している。男子は白のブラウス、黒のベストとパンツと黒のギャルソンエプロンだ。


部屋の飾りも調度品も全て本格的なカフェになっているので、一般客にも受けること間違い無しだ。


「まずは順調な滑り出しだな。後はシフト表に合わせて調節していこう」


「そうね、でも本当にシフト表を掲示していて良かったわね。ずっとこの混雑じゃ落ち着いてお茶したい人が入れないもの」


礼那の言葉に桃花が頷いた。今の混雑はお目当ての子がいるからだと言うのは客層を見れば一目瞭然だ。だが一般客にはそんな事はわかるはずが無い。わからなければただの繁盛している演し物だ。十分客寄せが出来た所で通常営業の開始、シフトに沿って人気の女子をローテーションする。


「イラッシャイマセ。二名様ですネ、お席にご案内致しまス」


控えめに、しかし優雅にお辞儀したのはなんとフィオだった。普段の明るい様子からは想像もつかない程に落ち着いた立ち居振る舞いに、ファンならずとも息を飲む程だ。彼女の本質は[明るく元気な可愛い女の子]ではなく、[上品な顔立ちの綺麗な大人の女性]なのだった。


小牧の講習でクラスメイトは知ってはいたが、初めて目にした他の生徒は完全に固まっていた。もしミスコンを文化祭の後に行っていたら更に票を伸ばしていただろうことは想像に難くない。


「さ、私たちは見学にいこ!」


湊が武流の腕を引っ張って教室を後にする。二人だけでなく他のみんなもメイドさんとギャルソンの格好のまま教室を出るのだが、智の指示で背中に広告が貼られている。相変わらず抜け目が無い。


「じゃぁまずは校庭に行こうか、腹ごしらえしようぜ」


校庭には模擬店がズラリと並んでいる。ここはわりと普通の店が多いので安心した。たこ焼きやフランクフルトなどの定番から高校の模擬店でやるものかと思う程のメニューまで様々だ。


ふと模擬店の中程を見るとアメフト部がバーガーショップを開いていた。


「ようご両人!チャレンジして行かないか!?」


「九尾先輩こんにちは!……凄いハンバーガーですね……」


見るとそこには通常の三倍はあろうかというアメフトボール形の楕円形のハンバーガーが置かれていた。一つ五百円で三十分で三つ食べたらタダになるチャレンジメニューだそうだ。バンズの大きさもさることながら、中身のボリュームも満点でハンバーグもレタスもバンズからはみ出すほどの大きさで、スライストマトが5枚も入っているそれは、並み居る挑戦者を悉く打ち破っていた。というか敗れた挑戦者が転がっていた。


「……俺たちは二人で一個で十分ですよ……」


「そうか、残念だな。S.T.A.F.Fには世話になったからタダでいいよ。……切らなくていいよな?」


「はい、切らないで下さい」


九尾の[二人で一緒にかぶりつくだろ?]と示唆したからかいに湊がしれっと乗っかった。返り討ちだ。


「そういえば九尾先輩。グラウンドの方は使わないんですか?折角広い敷地があるのにこんな小さな屋台で良かったんですか?」


「ああ、他の所は派手にやってるみたいだがな、うちはこれだけで十分さ。それにちゃんと使用料はもらってるから問題ないよ」


礼那の入れ知恵でそうしたらしい。どれだけ売り上げが出るかわからない無駄に派手な演し物で広い土地を無駄にする位ならマージンを取った方が有益だし、生徒会経由での支払いだから確実だ。


「それじゃぁ先輩、失礼します」


「ああ、またな」


最初の店で満腹になってしまった二人は腹ごなしも兼ねて見学を再開した。サッカー部と野球部が並んで配置されているグラウンドでは的あてゲームが開催されている。他にもバスケ部のフリースローなどの運動系のゲームが所狭しと並んでいた。


「あ、私フリースローやってみたい!」


湊はそう言うと順番待ちの列に並んだ。聞いてみると経験はないらしいので単純な興味と腹ごなしが目的のようだ。


「はい!じゃぁ次の人〜!」


湊の番だ。一本、二本と外しているが、段々フープに近づいている。そして三本目が見事に入った。ちなみに湊はメイドさんの格好のままなので、黒の膝丈のスカートの中、白いニーソックスとガーターベルトの紐に包まれた太ももがチラチラ見えるのが武流も他の男子も気になって仕方ない。


「武流君!三本入ったよ!見ててくれた!?」


「あ、ああ……ちゃんと見てたよ」


武流が見ていたのは太ももだったが嘘はついていない。が、湊にはそんな誤魔化しは通じなかった。


「もう、エッチなんだから……そんなにスカートの中が気になるの?」


赤くなりながらも慌てて否定する武流。


「違うって!ちゃんと投げてるのも見てたよ!湊のメイド衣装だから気にはなるけどさ」


少し呆れた顔で湊は武流に耳打ちする。


「……後で中も見せてあげましょうか?」


「……ごめんなさい……太ももが気になってました……だから勘弁してください……」


「はい素直でよろしい!それじゃあ行きましょうか」


その後も二人は全校にラブラブぶりを振りまきながら文化祭デートを続ける。楽しんでいる間に二人のシフトの時間になった。

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