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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第六章〜夏だからって海に行くと思うだろ?けどそこをあえて外してみたら自分が苦しい思いをしていることを知ってしまった!とモブ
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部活新設とモブ

「赤裸々なカミングアウト結構な事だが…外にだだ漏れていたぞ」


朝日の言葉を遮る様に礼那と智が部室に帰ってきた。


「礼ちゃん久し振り〜!お姉ちゃんが来れなかったから寂しかったの!?もう…仕方ないなぁ…グエ!」


言いながら飛びつこうとした所を、礼那は朝日の喉元に手を当てて制した。学内トップクラスの美少女とは思えない声を出しながらも怯まず抱きつこうとした朝日を、今度は智が引き剥がした。


「相変わらずの変態だな朝日…レズなんかを姉さんに近づけるわけにはいかん!お前はハーレムでイチャイチャしていればいいだろ!」


「あら智ーちゃん、二次元オタクで近親相姦志願者のあなたに変態呼ばわりされたくないわね。確かにハーレムではいつもイチャイチャしてるけど礼ちゃんはまだメンバーじゃないんだもんいいじゃない!」


生徒会をハーレムと言い切るのはともかく一般人から見たら二人とも十分な変態だった。この間の弥富といい、礼那は変態を呼び寄せる体質なのだろうかと疑ってしまう。実は礼那も校内上位クラスの美少女としてかなりの人気なのだが、残念ながらこちらもファンはMとロリコンばかりだったのだ。


「まだってなんだ!ともかく変態二人!いいから話を始めるぞ!」


「そう言えばそうだったわね。なんの話?外に人を待たせているから手短にね」


「なに、簡単な事だ。一つ部活を増やして欲しいんだ。申請書も書いてあるんだが、申請者がいなくてな」


「全然簡単じゃないじゃない…うちの規則を知らないわけじゃないでしょ?掛け持ちでない部員5名以上、その部を作るに足る理由を書いて、顧問を立てて、生徒会と二名以上の教職員の印鑑と校長の許可がいるのよ。適当な部活の乱立を避ける為の処置なんだから曲げられないわよ」


いくら生徒会長でも学校のルールを捻じ曲げたりは出来ないし、なにより朝日はその辺りはしっかりしていた。


「部員は今集めている所だ。校長の許可は基本的に無いも同然だからいいとして、生徒会と教職員の説得と顧問の用意をお願いしたいんだ。報酬は…[例のあれ]だ…」


「姉さん!ダメだよそんなこと!…」


「乗った!三回で手を打つわ!」


[例のあれ]に智も朝日も激しく反応した。智は顔が青ざめていて、逆に朝日は顔を紅潮させて礼那ににじり寄った。


「待て!一回に決まっているだろう!なんだ三回って!」


「だって〜ここを作った時とは難易度が違うじゃない。それとも…S.T.A.F.Fの女の子全員なら一回でもいいわよ?」


朝日は言いながら部室にいる女子を舐めるように見渡した。千種、遥香、フィオがみるみる青くなっていくのを見て礼那は嘆息を吐く。


「私一人で二回…これが限度だ」


「…部室と部費を用意するわ。これで四回、安い買い物でしょ?」


部費は、機材の資金は礼那でも用意出来るが、長期的な部費となるとそうはいかない。痛い所を突かれて礼那の負けが決定した。


「…わかった…それで頼む…」


礼那は血を吐く思いで渋々承諾した。


「はい成立〜!こっちは全部整えておくから申請書早めに出してね!どんな部活でも通してあげるわ!じゃあみんなまたね!」


朝日は意気揚々と帰っていった。この分なら遊び部とかでも通りそうな勢いだった。


「姉さん…なんであんなこと言ったんだよ…絶対悪い事しか起こらないよ…」


智が不安を口にした。


「ねぇ、一から十まで話が見えないんだけど…どこから聞けばいいの?」


何一つ説明の無いままで話が終わってしまって、湊は置いてきぼりにされた気分だった。


「そうだな…さっきも少し話に出たが、部活を増やそうと思ってな。服飾部と言ったところか。普段は服のデザインと縫製などが中心だが、依頼により演劇部の衣装だとかコスプレの衣装を作る部だ。イベントで話を聞いてみても需要がありそうだったからな」


「服飾部?確かにこの学校にはそれらしい部はないよね。手芸部とかも何年か前に廃部になったらしいし」


「だからこそだ。名目は女子の嗜みだとか言っておけば中で何を作っていようが関係ないし、外部からの依頼をうちで受ければマージンも手に入るというわけだな」


なるほど生徒の向上に繋がる部なら教職員も反対はしないだろう。さらにマージンまで手に入る。


「コスプレって…まさか部長…岩倉姉妹の…」


武流は気付いた。だがこのタイミングだ。事情を知っている者なら誰でも気付いただろう。湊も当然気付いただろうとそちらに目をやると、やはり同じ事を考えていたようで二人の目が合った。


「まぁそうなんだろうね。…全く姉さんは最近甘くなったんじゃないの?」


「そんな事はない!うちの更なる発展の為の一手に過ぎん!それに生徒全員に部活設立の連絡はするが入る入らないは本人次第だ!」


礼那は言いながら腕組みしてそっぽを向いてしまった。だがよく見ると長い黒髪の隙間から真っ赤に染まった耳が見え隠れしていた。

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