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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第六章〜夏だからって海に行くと思うだろ?けどそこをあえて外してみたら自分が苦しい思いをしていることを知ってしまった!とモブ
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試着とモブ

放課後、衣装が出来たとのことで部室に集まった面々。


大半が嫌な予感でいっぱいの中、それぞれに衣装が渡された。作った本人が疲労困憊で死にかけているのを見て、礼那はちょっと罪悪感にかられた。


「よし、では試着だな。カーテンを引いてそれぞれ着替えよう。智、カメラは没収だ」


幸い、特に奇抜な衣装がなかった為にすぐに着替えは終わった。


「おお?これは……」


殆どの者は初めてのコスプレだった為、気恥ずかしさが先に出てしまっていた。それは普段着と変わらない格好でも同じだったようで、なんとなく皆は黙ってしまっていた。それを打ち破ったのは経験者たる智と岩倉姉妹だ。


「わ〜みんな凄い!男子はカッコいいね!一部を除いて……」


「……その[一部]は確実に俺だよな……」


武流は全身着ぐるみだ。マスコットキャラクターなのだが、顔まで覆われているので武流である必要は無いと思えるくらいだ。


「それはそれでありです。茂野先輩グッジョブ」


美玖が親指を立てて褒めてくれたが、武流は今一納得出来ない様子だった。


「女子は……うん、予想を上回る出来映えだね。とても数日で完成させたとは思えない」


「見てくださいこの着物。本物とは生地も作りも違いますが、非常にシンプルでとても着やすいんです。普通の着物に応用したいくらいです。特にこの辺りなんか……」


言いながら遥香はおもむろに帯を解こうとした。


「ダメ〜!なにしてるの!」


「湊さん……少しはしたなかったですね。すいません……あっあとこの髪留めも可愛いんですよ!」


遥香は照れながらクルリと一回転。フワッと軽やかに髪が揺れる。すると髪の香りが大和の鼻腔をくすぐる。


(ドキン)


大和は、遥香の香りと見慣れない格好にドキドキしていた。


(おお?大和が?)


「その着物は私がデザインしたんだよ!脱ぎ着のしやすさと動き易さを重視したからホントの着物とは着た感じが変わると思ったけど……大丈夫そうね!」


美樹は満足気に眺めていた。


トントン……


智の背後から肩を叩いて来たのは、真っ黒のライダースーツにヘルメットの……体型を見る限りは…女性だった。よく見るとヘルメットの上に同じ素材の猫耳が付いていてちょっと可愛いが……


「うわぁ!……誰?」


女性はポーチからケータイを取り出し文字を打ち込む。


[魅華だ。なんだこの衣装、喋れないし……なんか他のみんなと違って怖くないか?]


「ああ、先生か。それはそういうキャラですからね。本番までにはPDAもちゃんと作って渡しますからその時もこんな感じで会話してください」


それを聞いた魅華は慌ててヘルメットを脱いだ。


「なんだと!?真夏にずっとこの格好でいろってのか!?無茶言うな!」


「まぁまぁ……可愛い生徒の為じゃないですか……それに……」


智がチラリと横目で見た先を魅華も追う。すらと感情の希薄なはずの美玖が涙ぐんで魅華を見ていた。


「先生……カッコいいです……でも……そうですよね……真夏にその衣装なんて……無理ですよね……」


「いや……あのな?岩倉……これはその……」


魅華は美玖の様子に狼狽えながらも美玖のレアな部分にキュンキュンしてもいた。


「いえ……いいんです……これは私のわがままだったんですよね……」


「……だ〜!もうわかったよ!やればいいんだろ!?」


ついには涙を流しながら座り込んでしまった美玖に観念した魅華、智と美玖が魅華に見えない位置で親指を立てた。


「は〜みんなサイズも合ってるみたいだし…なんとか……仕事完了……でス〜……」


みんなの衣装を一通り眺めて直しが終わった時、千種は崩れるように眠ってしまった。最後の[ス〜]は寝息だった。


「うわぁ、ちーちゃん大丈夫!?」


「大仕事だったからな。誰か保健室で休ませてやってくれ。帰りは中村達に任せていいか?」


「うん、僕らでちゃんと送り届けるよ。任せておいて」


「あ……」


武流が小さく声をあげた。今日は湊とのデートの日だったのだ。だが武流は迷う事なく湊に謝った。


「ゴメン!この埋め合わせはちゃんとするから!」


「もちろん!もし武流君が困ってる友達より私を優先してたら、私怒るからね!」


湊は笑顔でそう言ってくれた。武流にはもったいないくらいいい女だ。


「……でも……埋め合わせはちゃんとしてもらおうかな〜」


言いながら湊は自分の唇にチョンチョンと人差し指を当てた。これは二人の秘密の合図、キスを示唆していた。


実はこの二人、物語とは別の所でしょっちゅうデートしていたのでそれなりに回数を重ねていたはずなのだが、武流は未だに照れまくりだ。なので合図を見た瞬間に武流は真っ赤になってしまい、周りに気付かれてしまった。


「ミナト〜?それはなんの合図なのカナ〜?ご飯じゃないよネ!」


「もう!武流君!秘密にならないじゃない!」

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