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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第一章〜いくら書き始めとはいえ設定の紹介だけで一章丸々使うのはどうかと思うんだがどうだろうか?とモブ
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自己紹介とモブ其の一

担任からの先制攻撃が止んでこれから生徒の自己紹介なのだが……


「最初は……安城徹からだな。はい拍手〜」


しかし拍手をしているのは魅華だけだった。あの酷い振りからの一人めが学校一の不良ときたからみんな動けるはずもなかった。


「ん?どうしたみんな。まぁいいか……ほれ!立って自己紹介しろ徹!」


(ヒイッ!)


みんなの悲鳴が聞こえてくるようだった。


「学校で呼び捨てにすんじゃねぇよ……安城徹だ……」


意外に……と言うわけではないが何人かは突然徹が暴れ出したりしないかと思っていたので拍子抜けだった。それよりも二人が親しげなことに興味を引かれたようだ。


「ん?それだけか?なにかあるだろ。趣味は人体破壊だとか特技は犯罪の隠蔽だとか」


せっかく興味を引いたのに今度は違う意味でみんなが引いた。


「それはお前だろ」


徹が平然と言い返す。


「ああ?今教師に向かってお前っつったか?」


魅華が顎で廊下に促す。それに無言で応える徹。


二人が廊下に出ると教室中がざわめき出す。


「みんな気にしないでいいよ。どうせすぐ終わるから」


どこかゆったりした声でそう言ったのは徹の相方の忠臣だった。彼は周りのざわめきもどこ吹く風で眠そうに頬杖をついていた。


廊下から酷く鈍い音が聞こえてきた。具体的に言うと消火器で人の頭を強く殴打したような音だ。


「おーいみんな静かにしろ〜次の奴〜」


何事もなかったかの様に魅華が教室に戻ってきた。よく見るとブラウスにさっきはなかった赤い斑点が……


なにがあったのか気になるけど聞けない空気を察知した女子が恐る恐る聞いた。度胸あるね。


「先生……安城君は……」


「徹?ああ、あいつはなんか頭が痛いとかでそこらへんで寝てるんじゃないか?」


(消火器?消火器で?)


(怖いよこの先生……殺ったの?殺ったの?)


みんなはうつむいてそんなことを呟いていた。


そんな地獄のような時間が続いた。


特に重要ではない人のことは物語上では飛ばしていくことにする。


(飛ばすんだ……)


「はい次の人〜は忠臣、お前だ」


「はいよ、名前は岡崎忠臣。いずれバレるから先に言うとそこの不良教師の弟です。趣味は……人間観察……かな。以上」


「巨乳大好きとかストーキングが趣味とか言わなくていいのか?」


「姉さん……弟の学生生活台無しにしたいの?」


「まぁいいか……次、春日井」


「はい、春日井春香と申します。趣味はピアノです。時々皆さんにご迷惑をお掛けすることもあるかもしれませんがよろしくお願いします。」


春香のホンワカした空気に皆の緊張感が少し解れたようだが、魅華の目がギラリと輝いたのを忠臣は見逃さなかった。どうやら好みだったらしい。


「次はモブ男だな」


「……モブ男はやめてください……」


モブ男とは武流のことらしい。魅華が勝手に付けたあだ名だ。去年違う組だった人たちがなんのことだかわからない顔をしていると、


「ん?ああみんな知らないか。そいつの名前が……」


と黒板に書き出した。茂野武流の[茂]と[武]をわざと大きく。


「こんな感じで略して音読みすると[モブ]になるわけだ。だからモブ男だ。」


「先生……それ完全に悪口ですからね?……じゃぁ一応自己紹介を……」


「はい次!」


「酷い!」


飛ばされなかっただけマシだと諦めようか。

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