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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第五章〜まさか学校を卒業してからテストに関わる事になるとは夢にも思わなかったからどんな教科が普通かもわからないがその辺はフィクションて事で勘弁してくださいとモブ
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お返しとモブ

武流が正気に戻った頃、一体どれだけの時間が流れたのかわからないが、勉強部屋は既に誰もいなかった。仕方ないので男子部屋に戻ったら智と翔と忠臣が灰になりかけていた。


「こいつらどうしたんだ?勉強してたんじゃないのか?」


「あ、武流おかえり〜うん勉強してこうなったんだよ。部長がどこからか鞭を持って来てね。大変だったんだよ〜」


大和はあまり大変じゃなさそうに言っているが、智達の様子を見る限りかなりのスパルタだったのだろう。


「武流はいままでなにしてたの?那古野さんはすぐ帰って来たのに……」


その頃、女子部屋では秘密の会議が行われていた。布団で円陣を組んで真ん中には礼那のノートPCが置かれていた。女子トークとは違い謀略染みたものだった。


(なんだ?)


「よし、繋がったな。これで男子部屋の盗聴ができるぞ」


礼那の案で覗きのお返しに男子達の秘密を握ってしまおうという作戦だ。反対意見も多かったが、気になる相手の本音が聞けるチャンスだとか言って礼那が説き伏せてしまったのだ。


(!!!)


「まぁ俺の事より夜はどの教科だったんだ?軽くでいいから教えてくれないか?」


武流はそう言いながらノートとシャーペンを取り出した。そしてノートにこう書いた。


[盗聴されてる。多分部長だ]


「なんだ!……」


驚いて大声をあげそうになった翔を智が口を塞いで止める。智は武流の真面目な顔に本気だと気付いた。すぐにノートを取り出して筆談をしながら会話を進める。


「仕方ないな。今日はこれと……これがここからで……」


[目的は……覗きのお返しってところか……みんな、なるべく自然に会話を続けてくれ。僕は盗聴器を探す]


全員が頷いて作戦開始だ。最初に口を開いたのは翔だ。


「きょ!……今日はいい天気だな!」


やってくれた。テンパり過ぎて演技力皆無の翔を、徹が一撃で仕留めた。雷神の槌だ。


「おいおい、やけにでかい寝言だな翔」


[徹!ナイスフォロー!]




「む?……なんだ……寝言か……バレたのかと思ったぞ」


礼那は気付いていなかった。




そして無意味な会話を五分程続けたが一向に盗聴器は見つからない。諦めて寝てしまおうと言う意見もあったが、智か別の案を提示した。


[折角だから誉め殺し作戦はどうかな?ただ寝ちゃったら向こうも納得しないかもしれないしここは気分良く明日を迎えてもらったらどうかな?]


確かに、なんの収穫も無しでお返しにはならないと思われたら面倒だ。幸いバカは気絶したままなのでそれでいく事になった。


「しかし部長は凄いよな」


「……ああ……あれだけのカリスマ性を持った奴は中々いないだろう」




「な!?こいつら一体なんの話を!?」


礼那はまさか陰で褒められているなどと思いもしなかったので驚きと共に恥ずかしくなっていた。




「でも姉さんはあれでちゃんと陰で気配りもしてるんだよ?それに可愛い所もあって、前に言い過ぎじゃなかったかって悩んで僕に相談した事もあったしね」


「へぇ……でもなんとなくわかるな。仲間想いなのは間違いないよね」




「あいつ!人に言うなと言っておいたのに!」


「へぇ……そうなんだ……可愛いとこあるんだねぇ……」


湊達はニヤニヤしながら聞いていた。


「くっ……屈辱だ……」


礼那は言葉は怒っているが耳まで真っ赤になっていた。




「可愛い所と言えば委員長、歴女なのはビックリしたけど普段の真面目な感じからのギャップもポイント高いよね」


「……ああ……そうだな……ギャップと言えばロッソもそうだな。普段の元気さで可愛い系に見られるけどな、真顔だとかなりの美人だぞ」


「それわかる!顔立ちが上品なんだよね。海外セレブみたいな?」


「美人と言えばやっぱり春日井さんじゃない?これだけのお金持ちなのに鼻にかけない謙虚さとか。そこにあのぽわぽわな空気だからモテるだろうね」




褒められた三人が顔を赤くして俯いてしまった。遥香に至っては大和に褒められたので天にも昇ってしまいそうな勢いだ。




[待った!大和は褒めるのは部長だけにしてくれ!血の雨が降る!]


大和以外は納得した。


「茂野の妹はどうだ?あれは美人になると思うぞ?ロリコンには残念なんだろうがな」


「なんか妹を褒められるのはむず痒いな……けどまぁ美人はともかくあれで家事も結構できるんだぜ?兄としては鼻が高いな」


「家事と言えば……なんか大喜利みたいに[と言えば]ばっかりだけど……千種ちゃんは家事凄いできるんだろ?」


「ああ、特に料理は絶品だよ。なあ大和」


「うん、ちーちゃんの和食はお店に出せるレベルだよ」


「モブ男〜そろそろ聞かせろよ。湊ちゃんのどこが気に入ったんだ?」


忠臣の言葉に智が乗っかった。ノートには[ガチなの言っとけ]と書かれていた。


「なんか……今更照れるな……湊は……最初に会った時から気にはなってたんだよな。見た目がストライクだから」


「でも見た目だけじゃないだろ?」


「……ああ……最初の方はストライク過ぎて絶対無理だろうな〜釣り合わないよな〜とか思ってたしな」


「まぁそうだろうな。今でもそれは思う」


「……余計なお世話だ!そんで一番のきっかけはアメフト部の時かな。湊が助けてって言った時に守ってあげなきゃってね」


「それはああいう時なら誰が来ても助けを求めたんじゃないか?」


「まぁそうなんだろうけどさ、たまたま湊の事を知る機会があってたまたま出くわしたのが俺だったってだけなのはわかってるよ。だから……たまに不安になるんだよな……でも今はそれでも湊が好きだからそれでいいんだって納得してる」


[そろそろ締めるぞ。武流、思いっきりノロケてくれ。それで僕たちが当てられて寝てしまうという筋書きだ]


「湊は今でもからかってくるし掴みどころがない時もあるけど、それがたまらなく可愛いんだよ。俺があいつに振られる事はあっても逆は絶対にない」


「あ〜はいはいご馳走様」


「……よくもノロケられたもんだな〜こっちが恥ずかしいよ」


「武流……大人になったね……」


「うるせぇよ!お前らが聞いて来たんだろ!?もう寝ちまえよ!」


「はいはい、聞いてられないよホント。電気消すよ〜モブ男は湊ちゃんの淫夢でも見てれば?」


「見ないよ!汚すようなこと言うな!」


[よし!寝るぞ!][おー!]

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