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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第五章〜まさか学校を卒業してからテストに関わる事になるとは夢にも思わなかったからどんな教科が普通かもわからないがその辺はフィクションて事で勘弁してくださいとモブ
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なんだかんだでバカップルとモブ

「智……お前うちだけでは飽き足らず人のうちに来てまでなんて事してるんだ……」


「だって姉さん!うちでは覗こうにも窓は一つだけで完全に開かないし、カメラを仕掛けても悉く壊してしまうじゃないか!」


「覗くことに罪悪感は無いのかお前は!」


正座で腕を縛られながらも悪びれた様子がまるで無い弟に、礼那は呆れながら頭に攻撃した。


続いてロリコンだ。文句を言ってやろうと礼那が口を開く瞬間、ロリコンがワクワクしているのを感じてスルーしてしまった。ロリコンでマゾヒストとか始末が悪いにも程がある。


「飛島、茂野、岡崎。貴様らはどういうつもりなんだ?智主体とは言え罪が無いとは思っていないだろう」


「そうだヨ!覗きなんてズルイヨ!見たいならちゃんと了解を得てから見るヨ!」


「……フィオさん……誰も了解は出さないと思いますよ……」


当たり前の事のはずなのにフィオはこう返して来た。


「そぉカナ?ワタシはヤマトだったらいつでもオッケーだヨ?」


「大和ちゃんはそんなことしないわよ!」


千種は激しく反論しながらも、大和に頼まれたら抵抗出来ない自分を自覚していた。言葉には出さないが遥香と巫女も同意見だった。


「ねぇ、大和の話だったら連れてこようか?」


忠臣はあわよくば自分だけでも逃げられないかと打診してみた。しかしそれが余計に女子の神経を逆撫でしたようだ。


「「今は関係ない!」」


「貴様ら反省の色が全く見えないな。朝までそうしているがいい!」


「そんな!俺はなんにも言い訳とかしてないだろ!?あとこの後の勉強どうするんだよ!」


「茂野か、確かに言うことは尤もだ。よし、残念だが飛島と岡崎は勉強部屋へ行け。ロリコンはそのまま朝まで正座でいろ」


礼那は切り替えも早かった。だが武流の処遇を残したままだったことに武流が気付いた。


「あの……俺は?」


「お前の事は当然任せるべき人間に任せる。せいぜい最悪の結果だけは免れるよう頑張れ」


それが誰なのか聞くまでもない。武流の彼女、湊だ。


「さぁ武流君、じっくり今後について話し合いましょうか」


湊はニッコリ微笑む。しかし彼女を包む空気には笑いの入る隙間は1mmたりとも残されてはいなかった。擬音で表現すると[ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……]だ。


「あの……湊……いや湊さん?……顔が怖いんですけど……」


湊は武流の言葉を無視して、しかし武流から目を離す事なく声を発した。


「遥香……ちょっと二人きりになれる部屋はないかしら」


湊の気迫に押されるように空き部屋の鍵が湊に手渡される。湊は無言で武流の戒めを解いてその部屋に武流を引っ張っていった。


「モブ男……死んだな……」「ああ……」


「さあ!あっちは放っておいてこっちは勉強だ!お前らは縛られたまま正座で勉強しろ!」


こっちも死んでしまいそうだった。


武流と湊が空き部屋に入ると、湊は後ろ手に鍵を閉めた。その間湊は無言のままで俯いている。


「湊、俺は……!?」


武流はなんとか怒りを収めようと湊に振り返り言葉を出そうとしたその瞬間、湊が武流の胸に飛び込んできた。湊は武流の胸に顔をうずめながら静かに話し始めた。


「武流君……そんなに女の子の裸が見たかった?確かにフィオとか遥香は凄く綺麗よね……」


「違うんだ湊……」


言い訳をしようとした武流の言葉を湊はまた遮った。


「ねぇ武流君……私が裸を見せたら……私だけを見てくれる?……」


言いながら湊はブラウスのボタンに手をかける。武流はそれを慌てて制した。


「待ってくれ!いきなりなに言い出すんだ!」


「だって……男の子はエッチな生き物でしょ?エッチな本を見るのは仕方ないけど……知ってる人の裸を見て欲しくないんだもの……武流君を取られたくないの!」


少し涙目になる湊を見て武流は自分のした事の重大さを改めて確認した。


「ゴメン……湊の裸を他の奴に見られたくなくて止めようとしたんだけど……俺、浅はかだったな……でも俺は湊しか目に入らないよ!だからこんな事しないでくれ!」


「武流君は私の裸見たくないの?そんなに魅力無いかな……」


「見たいよ!見たいけど!……こんな形ではイヤだ……」


「クス……見たいんだ……」


湊の様子が変わった。俯いたままではあったが舌をペロリと出していた。


「……湊?……」


「そっか〜武流君は私にベタ惚れなんだね!安心した!」


顔を上げた湊はいつものいたずらっ子のような顔で武流の顔を覗き込んだ。


「……またからかったのか!?やっぱり見せろ!」


湊は、襲いかかろうとした武流をひらりと躱して武流の鼻先をチョンと指で制して言った。


「でも!……怒ってたのはホントだよ?他の子を見て欲しく無いのもホント!……それとね……」


武流の鼻先に置いた指を離して、今度は両肩に手を置いて耳元で囁く。


「私も武流君にベタ惚れなんだからね」


チュ……


武流の頬にそっと優しくキスをした。


「さて、私は勉強部屋に戻るね。武流君も早く来てよ。一応怒られた感じで来るんだよ?」


「……ああ……」


閉じられた部屋に一人残された武流。茫然と立ち尽くしながら、役者の違いを見せつけられた気分だった。例えるならグラミー賞の主演女優賞受賞者と保育園のお遊戯の村人其の一くらいの差だった。勝ち目がないどころか同じ舞台にさえ立ってはいないのだ。

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