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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第四章〜恋愛モノにする気はなかったけど意外と長くなったから章を分けてみたけど本当に短いな!とモブ
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冷やかしとモブ

「せーの」


「「ごめんなさい!」」


砂浜でS.T.A.F.Fのいつものメンツが揃って頭を下げた。智に至っては143cmの礼那に頭を押さえつけられているので腰が百七十度位に曲がっていた。


「最初はちょっと悪ノリしただけだったんだけど……」


「なんか段々楽しくなってきちまってな!」


「湊ちゃんごめんなさい……」


(千種さん俺には?)


みんな湊に対して謝っていた。


「まぁなんだ……こいつらも反省してるので許してやってくれないか?」


「まぁいいですよ。最後は綺麗だったから許してあげます!」


湊は腰に手を当てて怒ったポーズをしていたが、どこか嬉しさが滲み出ている。


「でも!二度としないでくださいよ!」


「ああ、隠し撮りしたものも全て消去させた。次やったら存在を消去してやるから安心してくれていい」


[やりかねない!]全員が思った。


「良かったネ!ミナト!」


「フィオ……ありがと!」


「お姉ちゃんって呼んでいい?」


巫女が少し照れながら湊の腕に抱きつき言った。


「……お前すでに呼んでるじゃねぇか……」


「しっかし良かったなぁモブ男!こんな幸運もう二度と来ないぞ!」


翔が肩を組んで来た。


「わかってるよ!」


「しかし明日から大変だよモブ男〜なにせ学校でもトップクラスの人気の女子を落としちゃったんだから、嫉妬で死ねるかもよ?」


「それは……あり得るかも……」


あり得るのだ。なにしろ湊は転校してきてからぐいぐいファンを増やしていて、今や学校中でもトップ5に入る人気だ。


ちなみに他の四人はフィオ、遥香、礼那、生徒会長だ。なにかの事情で順位は決められてはいないが……


「取り敢えず帰るか。もう真っ暗だぞ」


なんと締めは徹だった。というか徹が参加していたことに武流は少なからずショックを受けた。


一世一代の告白から一夜明けた月曜、目が覚めてすぐ武流は昨日の事を思い出してにやけている。気持ち悪い。


(おはよう位のテンションで言うなよ)


「お兄ちゃんおはよ〜!起きて〜!にやけた顔が気持ち悪いよ!?」


「挨拶のついでに言うな!」


家を出ると大和と千種が既に待っていた。


「あ、おはよ〜。にやけた顔が気持ち悪いよ?」


「お前らもか……俺そんなににやけてるか?」


「うん……幼馴染でも見たことないくらい…」


千種の言葉よりも言い方がどれだけにやけてるかかわかってしまった。しかし武流はこれまで文句を言いつつも本当ににやけていた。多分突然首を切り離されてもにやけ続けているかもと思える程に。その顔のまま通学路を歩いていると……


「茂野、おはよう」ドカッ「ようモブ男!げんきか?」ドカッ「……死ね……このモブ野郎……」ザシュ……「危ねえ!」


教室に入るまでずっとこんな調子で男子に攻撃され続けたのだった。さすがに朝からこれではもたないと思いながら教室に入ると……


「おはよう武流君!」


湊が最高の笑顔で挨拶してきた。


(女神!)


「どうしたの?朝からボロボロだよ?田んぼにでも落ちたの?」


「……恋に落ちてます」


武流は夢見心地で呟いた。


「!?やめてよもう!」


声は非難に満ちているが顔は真っ赤になっていた。そして小声で耳打ちする。


「二人きりの時に言って!」


(天使!)


武流はみるみる回復していった。湊パワーは絶大だった。


英語の授業中。担当は魅華だ。


「え〜では次はあたしが英語で質問するから英語で答えてくれ。じゃぁ那古野〜」


「はい」


「Kiss with Shigeno or felt good?」


ゴン!


クラスの半分くらいの生徒が一斉に机に頭をぶつけた。居眠りでもしていたのだろうか?湊は怒っているように小刻みに震えている。


「ん?どうした那古野。早く答えないか」


何故か魅華はニヤニヤしている。


湊がチラリと武流を見た。武流は不思議そうな顔をしている。魅華の質問を理解していないようだった。湊は観念したように息を吐いて質問に答えた。


「……In place that seems lips and do not have to leave life as it is……」


ゴン!


するとさっきの半分くらいの生徒がまた机に頭をぶつけた。今度はその後に物凄い冷やかしと殺意の目が武流に向けられた。


(なんなんだ?)


「GOOD!座っていいぞ〜」


答えに満足したのか魅華はニヤニヤしっぱなしだ。


授業が終わってすぐに武流がさっきのやり取りを湊に聞いてみた。


「なぁ、さっきのなんだったんだ?周りの男子からの殺意が普通じゃないんだが……」


「武流君はわからなくていいの!」


湊は頬を膨らませて怒っている。絶対に教えてくれなさそうだ。武流が諦め掛けたとき、智が教えてくれた。


「先生の質問は[茂野とのキスは気持ちよかったか?]で、那古野さんの答えは[一生唇が離れなくてもいいと思える位に]だ」


「もぅ!津島君!言わないでよ!とっても恥ずかしかったんだからね!」


男子からの殺意が倍になった。冷やかしの声もだ。


「知られたくないなら適当に答えれば良かったじゃないか。さすがの僕もビックリだ」


「だって……ホントにそう思ったから……」


湊と武流はこれ以上ないくらいに真っ赤になってしまった。今のところこの熱は覚めそうにもなかった。

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