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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第三章〜ようやく出ました真ヒロイン、彼女の無双ぶりは作者の熱が落ち着くまでは続くのでついて来てください!とモブ
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転校生とモブ

翌日の月曜日、朝から武流は物思いに耽っていた。


(昨日のあの子、そういえば名前も学年も聞くの忘れてたなぁ……結局最後まで手伝ってもらったのに……後で智にでも聞いてみるかな)


そんな事を考えている間に魅華が教室に入ってきた。


「おはよ〜。お前ら席に着け〜」


魅華がいつも通りの挨拶もソコソコに着席を促す。皆が席に着いたのを確認すると急に魅華の目が輝いた。


「さぁみんな!転校生の紹介だ!男どもは狂喜乱舞するがいい!女子だぞ!」


「「おお〜」」


(転校生?まさか!)


武流は気付いたようだ。


すぐに男子が反応するが、魅華は気に入らないようだ。


「テンション低いなぁお前ら。だが!これを見てもまだそんな反応でいられるかな!?入って来い!転校生!」


かなりハードルを上げられて、普通なら物怖じする所だが、そんな様子も無く扉は開かれた。そして顔が見えた途端に……


「「おおおお〜!!!!」」


教室が揺れた。比喩ではなく本当に揺れた。


入ってきたのは、武流の予想通り昨日のあの子だった。武流もわかっていたがやはり他の男子から見てもかなりの美少女で、男子たちは身を乗り出して歓声をあげていた。


「よし!落ち着け野獣共!那古野、自己紹介だ」


男子の勢いに多少引きつつも転校生が答える


「はい、那古野湊(なごの みなと)です。紅南高校から転校して来ました。早くこの学校に慣れて皆と仲良くなりたいと思います。よろしくお願いします」


落ち着いた様子で話す美少女の笑顔に何人かの男子の心が撃ち抜かれた。


「お、俺と仲良くしよ!」「先生グッジョブ!よく連れてきた!」「先生!席は俺の横!今すぐ空けるから!」


最後の男子は横に座っている他の男子を蹴り飛ばした。


「気持ちはわかるが落ち着けお前ら。席は伏見の横を空けてある。那古野、あそこがお前の席だ」


魅華が指差した先、桃花の横の席に湊が目をやると、その後ろにいた武流と目が合った。武流に気付いた湊は軽く手を振り武流が応えるが、目ざとくそれに翔が気付いた。


「モブ男!お前那古野さんと知り合いか!?どんな関係だ!?」


「関係もなにもねぇよ!ちょっと会ったことがあるだけだ!」


武流は反論するが湊が追い打ちをかける


「そんな……昨日私にあんな恥ずかしい思いをさせておいて……関係ないなんて……」


少し目を潤ませて口元に手を持っていく湊が、昨日の事を色々省いて誤解を招く言い方をする。武流もそのことを思い出してしまって顔を真っ赤にしながら反論した。


「あれは!……事故だろ!」


この返しがまずかった。なにかあったのは明白だ。これには翔だけでなくクラス中が反応した。


「武ちゃん!一体なにをしたの!?」


「武流……信じてたのに……」


千種と大和までが完全になにかの犯人扱いしてくる。


(こっちこそ信じてくれてると信じてたのに……)


「智!警察に連絡だ!婦女暴行の犯人がここにいるぞ!」


「すでに連絡済みだ。彼女が希望するならすぐに裁判に持ち込めるぞ。弁護士も当てはある」


「無駄に仕事早いな!なんにもねぇよ!」


クスクス……


収拾が付かなくなってきた頃に湊が笑い出す。


「面白いクラスね。冗談よ、なんにもないから。それにまだ名前も知らないもの」


(小悪魔系だ……)


最初の休み時間。クラスメイトが湊の机に集まって思い思いに質問攻めをしている。


いつもならモブオブモブこと武流もその輪の中に入るのだが、HRの件もあってか動けずにいた。というか他の男子に牽制されていた。


「那古野さんは普段どこに遊びに行くの?」「那古野さんは趣味とかどんなの?」


などなどテンプレートな質問が続く中……


「部活はどこに入るか決めてる?まだなら俺のとこに……」「あんたの所は男しかいないでしょ!」


部活の話になった時に、湊が武流の方をチラリと見た。


(!?違うよな……俺を見たんじゃなくて横を向いてたからたまたま視界に入っただけだよな……)


チキンらしい心の防御だな……


(黙れ!)


その間も質問攻めが続くと思われたが、クラス委員の桃花が割って入った。


「みんな!あんまり一度に聞くから那古野さんが困ってるじゃない!それと!私がお世話係になったからこれからは私を通すように!」


確かに湊は少し困っていた。さすがはみんなのお母さん。仕切り屋ではあるがクラスメイトの心の機微には鋭い。


「とまぁだけど、那古野さんの希望もあるかもしれないから嫌なら遠慮なく言ってね。無理強いは嫌いだから」


「ううん、ありがとう。えっと……伏見桃花さんだったよね?」


「桃花でいいわ。さん付けも禁止。その代わり私も湊って呼んでいいかしら?」


「桃花ね。わかったわ。私もさん付けされるの苦手だから助かるわ」


早くも仲良くなったようだ。友達作りも上手だ。


「桃花〜独占すんなよ〜」


男子(あんた)たちには言ってない!あんたたちは[伏見様][那古野様]って呼びなさい!」


凄い落差だがこれも彼女特有のジョークだ。


「じゃぁ早速……ではないけど湊。もし放課後空いてるなら学校案内するけどどうかな?」


「うん、空いてるよ。時間があったら部活も見学してみていいかな?」


「じゃぁ決まりね。プランは私に任せて」

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