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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第一章〜いくら書き始めとはいえ設定の紹介だけで一章丸々使うのはどうかと思うんだがどうだろうか?とモブ
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幼馴染とモブ



翌朝ー


けたたましく目覚ましの音が部屋中に響き渡る中、階段を駆け上がる足音が近づいてくる。


ガチャ


「お兄ちゃん起きて!可愛い妹の新しい門出の朝に寝坊なんてやめてよね!」


「あと五分寝かせてくれ……」


普通の枠を一切出ることの無い返事に妹も切り返す


「ダーメ!そんなこと言っていっつもギリギリに起きてくるじゃない!」


「頼む……なんだかこめかみが痛くて……あと可愛い妹を持った覚えはない……」


「……」


妹の中で罪悪感と怒りが葛藤する。


怒りの勝ち。


またも武流のこめかみに雑誌の角が突き刺さる。


「今すぐ起きて!」


今度はなんとか気絶せずに体を起こす武流。


「お前なぁ!角はやめろといつも言ってるだろ!お兄ちゃん顔が変形してしまう!」


「やめて欲しいならちゃんと自分で起きてよ!ご飯も冷めちゃうよ!」


「わかったよ……すぐ準備するから部屋から出てってくれ…」


「早くしてよね。二度寝したらまた角だからね」


バタン


恐ろしい言葉を残して妹が階段を降りて行く。


「……んで……この頭ん中で喋ってるのは夢とかではないんだな……」


やっぱり聞こえてるんだ?


「なんなんだ?一体……」


さぁ?私もなんでこんなモブな男が主人公かもわからないし……神(執筆者)の意向としか…


「神とか……なに?俺ってキャラなわけ?」


まぁそーゆーことだな。


「てことはあれか?これから俺は主人公として友情努力勝利の方程式に則って勝ち組人生歩んじゃうのか?」


いやそれはないな。だってお前華がないから。


「それは酷くないか!?仮にも主人公だろ!?」


キャラなのは受け止めるんだな。今後のストーリー次第じゃないか?私は出来事を伝えるだけだから。


「予知ができるとか遠くの出来事を知覚できたりとかそういう能力は?」


それこそ展開次第じゃないか?人の過去話があれば私は語るしそれが仕事だからな。


「ん〜……まだよく飲み込めないな……」


それはわかるが…急いだ方がよくないか?また雑誌の角が突き刺さるぞ。


気がつけば妹の襲来から十五分が過ぎていた。


「まずい!」


慌てて制服に着替える武流。またも階段の辺りから足音が聞こえてくる頃にはなんとか準備を終えたようだ。




食事の合間に家族を紹介しておこう。


先ほど兄のこめかみを抉っていたのは妹の巫女(みこ)。今日から高校生の女の子だ。


ちなみに武流の誕生日が四月十日で巫女が四月一日なので[年は二つ下で学年は一つ下]である。


童顔で背が低く、髪をツインテールにしているところから下手をすれば小学生に間違われることもあるが、公共施設の料金が安くなるので気にしていない。


父は不二夫(ふじお)。良くも悪くも平凡なサラリーマン。仕事帰りの晩酌だけが趣味の寂しい中年だ。


母は歩美(あゆみ)。老後の蓄えと家事が趣味の一家の大黒柱だ。


「「ごちそうさま!」」


「お兄ちゃん早くしないと!大和兄ちゃん達来ちゃうよ!」


「おーそうだな。じゃぁいってきます!」


「あっ。武流〜巫女ちゃんおはよ〜」


「おうおは……」


武流の言葉を巫女が遮った。


「おはよう大和お兄ちゃん!」


「巫女……俺にも挨拶くらいさせてくれ……」


「クスッ相変わらず仲がいいね。でも巫女ちゃんも今日から高校生か〜制服可愛いね」


「ありがとう!大和お兄ちゃんだけだよちゃんと見てくれるのは!」


巫女は頬を赤らめてモジモジしている。


「なんだよ……このあいだ俺にも無理矢理言わせ……」

ドスッ…


大和の死角をついた巫女のボディに武流の身体がくの字に折れ曲がる。


「ん?お兄ちゃんどうしたの?朝ごはん食べ過ぎちゃった?」


巫女が心配するように顔を近付けてくる。


「……余計な事は言わないで……」


コクコクコク……武流は肉体的にも精神的にも頷くことしかできなかった。


「またこれからは4人で登校だね」


まるで何事も無かったかのようにニコニコしている男の名前は中村大和(なかむら やまと)


武流の幼稚園からの幼馴染で、高校に入ってもずっと同じクラスで一番の親友だ。

大和も武流に負けず劣らずの普通人で、違う所といえば大和の方が一歩引いた立ち位置をキープして、誰にでも優しく接するところくらいか。その少しの差が人気の差になったらしく、武流は女子に告白されたことは一度も無いが大和は何度か告白されている。


「うるせぇよ……」


「なにが?」


「いや……なんでもない……」


武流は改めてこの親友の顔を見るが武流にはそこまでの差があるとは思えなかった。


二人はヤマトタケルコンビと言われるほどいつも一緒に遊んでいた仲だ。ただコンビと言っても遊びやケンカ、スポーツなどで凄いコンビネーションを発揮したこともなくただ一緒にいるだけなので中学に入る頃には誰も言わなくなったわけだが……


「みんなおはよ!遅くなってごめんなさい!」


現れたのは金山千種(かなやま ちぐさ)。武流の幼馴染その二。武流たちとは小学校からの付き合いだ。


少しおっとりした性格で、クラスではかなり地味で目立たない女の子だった。


それが原因か周りの男子にいじめられていたのを大和が助けたのが始まりで、それからはいつも三人一緒だった。


「あぁちーちゃんおはよ〜」と大和


「おはようちぐ…」


「おはよ!千種お姉ちゃん!」巫女とも仲良しだ


「巫女!だから俺にもちゃんと挨拶させろ!」


どうやらいつもの光景らしい。


「ホントにいつも仲良しね。武ちゃん羨ましいな〜」


「お前だって弟いるじゃん。別に羨ましくなんかないだろ?」


「そうだけど巫女ちゃんみたいな可愛い妹も欲しかったな〜って」


「そうか?うるさいだけだぞ?」


「うるさいなんて……やだなぁお兄ちゃん」


ドスッ


前から見ればただ兄妹がふざけて背中を叩いただけに見えるが、実はグーが武流の背骨を的確に抉っていたのだった。


ぐほっ……


「でもどうしたの?ちーちゃんが寝坊なんて珍しいね?」と大和


「うん、弟が寝坊しちゃって……まだ春休みと思ってたみたいで……」


「ああわかるわかる!うちもでっかい弟が大変で……」


巫女が乗っかってきた。


「クスッ巫女ちゃんも大変ね」


「誰の事を言っているのか聞きたいところだが……」


こんな風に普通に会話しているが、武流は千種の事が小学校の頃から好きだった。


だけど今の関係を壊したくないという建前と共に振られたときのショックを考えてずっと告白できずにいた。


当の千種はというと実は大和の事が好きだが武流と同じ理由でなにも出来ずにいたのだった。


「マジか!」


あ……聞こえてるんだっけ……まぁ良かったじゃないか。むざむざ結果の見えた戦いに赴かなくて済んだわけだし。


(いやそうかもしれないけどなんでお前経由で!……)


「どうしたの?武ちゃん」


「お前……大和の事が……」


「?」


「いや……なんでもない……」


「そうなの?さぁソロソロ学校行きましょ。遅刻しちゃうよ」


千種が促した

ご指摘いただいた部分を修正しました。

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