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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第二章〜ようやくプロローグが終わったところでやっと話が回していけるかと思いきやまだまだ書きたい所までのパーツが足りなくて四苦八苦!とモブ
16/70

誰得とモブ

ここから次のシリアス展開に繋げばいいのだが、残念ながら四月十日はまだ一つイベントが残っていた。誰得イベント[武流の誕生日]だ。


(俺得ではダメですか?)


高校生にもなって楽しみにしてるのか?晩ご飯はどうせ吉○家なのに?祝ってくれる彼女もいないのに?片想いだった相手は親友を好きだとわかってるのに?


(くっ……確かに楽しみは半減だが……でもいいだろ楽しみにしてたって……つーか晩飯……)


ボクシング部の仕事も終わって、帰る支度をしている武流を呼ぶ声が聞こえる。


「武流〜」「武ちゃぁん」「お兄ちゃん!」


大和、千種、巫女の三人だ。


「今日の仕事は終わった?じゃぁ一緒に帰ろうか」大和が促す。


「なんだ?待っててくれたのか?」


なぜ三人が武流を待っていたのかわかっているくせに……白々しい奴……


(そ、それくらいいいだろ……)


「もぉ武ちゃんたら……自分の誕生日忘れちゃったの?毎年みんなでプレゼントしあってるじゃない。毎年自分の誕生日だけ忘れてるよね」


「そうだったか?悪いな」


毎年こんなやり取りしてるのか……照れ屋な男子校生とか……キモ……


(う!る!さ!い!)


「じゃぁ行こうか。いつものマ○クだけど」


「おう」短く返事をして学校を後にする。


とあるマ○ク、四人がそれぞれ自分のドリンクを手にボックス席に着く。それから程なく……


「はい、プレゼント。私と大和ちゃんから」


千種から渡されたプレゼントはミサンガだった。ラインストーンの入った麻紐のタイプだ。


「お、かっこいいじゃん。二人で選んだのか?」


「僕がアイデアでデザインはちーちゃんだよ。巫女ちゃんは別で渡すって言うからこの間の休みに二人でね」


(なんてこった……フラグ立てに利用された気分がする……)


「それとね……」


大和と千種、巫女が目を合わせて同時に腕を出す。


「じゃーん!四人お揃いだよ!」


「へぇ、こういうのもいいな!みんなそれぞれ麻紐の色とストーンが違ってかっこいいな!」


ちなみに、石は武流がタイガーアイ、大和がエメラルド、千種がヘマタイト、巫女がラピスラズリだ。全部の意味は各々調べてもらうとして千種の石は[恋の競争に勝ちたい]だ。


(気持ちはわかってるんだがそれをハッキリ知るのってなんか嫌だな……)


「じゃぁお兄ちゃん、はい!次は私からのプレゼントだよ!」


「……なんだこりゃ……」


巫女が手作り感満載の封筒を渡してきた。開けてみると……


「巫女……お前高校生にもなって手作りの肩たたき券って……」


金をかけていない事よりも妹の頭が心配になる武流。


「よく見てよお兄ちゃん!肩たたき券なんて書いてないでしょ?」


「あ、ホントだ……[角→面券]ってなんだ……全くピンとこないぞ……」


「お兄ちゃん、いつも本投げつけた時に角はやめろって言うでしょ?だからこれを一枚使えば角じゃなくて面でぶつけるようにするっていう券だよ。嬉しいでしょ?」


「アホか!そもそも投げつけること自体やめろよ!あといきなり投げつけられるのにどのタイミングで使えばいいんだ!?しかも一枚しかないのはどういう訳だ!?」


多すぎるツッコミ所を武流は必死で突っ込んだ。


「うわぁ武流凄いね。よく一瞬でそれだけ突っ込めるね〜」「ね〜」


大和と千種と巫女がよくわからない感心の仕方をする。


「感心する所じゃねぇよ!お前らもこの頭の悪い高一女子になんか言ってやってくれよ!」


「ん〜……巫女ちゃん、せめて後二枚くらい増やせないかな?」


「そこじゃない!いやそこも突っ込んだけどもっと根本的な所があるだろ!」


「ホントに武流は凄いねぇ」


ぐったりとうなだれる武流。この四人はいつもこんな感じだ。きっといつまでもこんな感じでいるのだろう。この先どんなことがあっても……


こんな感じの締めでいいか?


(ん……もうなんでもいい……疲れた……)

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