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主人公とモブ  作者: 文月助椛
〜第二章〜ようやくプロローグが終わったところでやっと話が回していけるかと思いきやまだまだ書きたい所までのパーツが足りなくて四苦八苦!とモブ
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新たな仲間の予感とモブ

部室が静寂に包まれる。


ー「だが断る!」ー


同じ言葉を智や翔が言ったなら一笑い起きる所ではあるが、如何せん相手は学校一の不良で、普段から無口で憮然とした顔つきの男である。まさかここで、そんなネタを入れてくるなんて誰も思わないので、こんな空気になるのも仕方ない。言った本人は若干気まずそうに宙を仰いで部室の扉に向かおうとする。


「理由を聞こうか」


帰りかけた徹に待ったをかけたのは礼那だった。


「確かにこちらが勝手に依頼をしているわけだから、無論断るのはお前の自由意思だ。強制することはできない。だが仮にも教師である岡崎先生の推挙だ。それを断るなら何かしらの理由があるんだろ?ノリで断っているならそれもいいがお前はそんなキャラではないだろう」


礼那の言葉に、ほとんどわからない程度に徹の表情が動いた。


礼那の意図に気付いた智が、小声で礼那に耳打ちする。


「姉さん、まさか安城にやらせる気?なんで?」


「わからないか?こいつは引き止められたがっている。それと私の勘ではこいつがやれば面白くなる」


「へぇ……面白く……」


智も興味を持ったようだ。


「あと……これはほぼ確信なんだがこいつ岡崎先生を……いや……これは言うまい……」


さしずめ女の勘とやらだろうか。本当に恐ろしい精度だ。


「理由……理由ね……俺がそれをやる理由が無いのが理由……では駄目か?」


確かに尤もだ。だが解決の糸口は手渡された。[理由があればやる]と。


チャンスとばかりに智が口を開こうとした瞬間、魅華が怒鳴った。


「ゴチャゴチャうるせぇな!あたしがやれっっつったら答えは[ハイ]か[イエス]のどっちかだ!わかったか!?わかったら返事!」


もうなんだかメチャクチャなことを言っているが、元々ノリで言ってしまったのだが真剣な空気になってしまい、後に引けなくなっていた徹にとっては十分だった。実は礼那にキャラじゃないと言われて、軽く傷ついていたのはまぁいいとして……


(ノリだったのか!わかり辛ぇよ!)


「わかったよ。魅華姉の頼みを断ったら後が怖いしな。やるよ」


心底渋々な表情でいる徹を、しかし裏側が聞こえてしまっている武流はちょっと暖かい目で見ていた。


(結構いい奴なのかもな。ん?今[魅華姉]って言わなかったか?)


気になった武流は魅華に聞いてみた。


「先生、昨日から気になってたんだけど二人は元々知り合いなんですか?」


「ん?言ってなかったか?」


「ええ……色々突っ込む前に安城が保健室送りになったので……」


「そんなこともあったか?まぁいいか、忠臣……あたしの弟は知ってるよな。徹はあいつの親友でな、徹が目つきの悪い生意気な小学生の頃からの知り合いだ。俗に言う幼馴染萌え?」


[萌え]と言う言葉に智が激しく反応した。


「ダウト!そこに萌えはありません!あるのは岡崎先生のショタ疑惑だけです!」


智の勢いを意にも介さず魅華が続ける。


「流石に小学生に手を出したことはないな。それでまぁ……よくこいつらの世話をしてたわけだ。聞けばこいつのうちは両親共忙しいらしくてな、うちも近いってんでよく遊びに来てたよ」


「小学生のお世話ってのは効率よく人を壊す術を教えることじゃないだろ。大体毎日怪我させられてたし……なんとなくいい話っぽく捏造するな。……まぁ……強くなったのには感謝しているが……」


若干[感謝]の部分に照れが入った。徹の方がよっぽど萌え要素を持っている。


「まぁ他にも色々あるがそんなとこだ。さて依頼の件も無事片付いたことだし、誰かコーラ買ってきて〜」


(ホントに締めが下手だなこの人)


まぁ解決したのは本当のことだからと、大和が買いに行く。みんなの分もついでにと遥香が大義名分を持って大和についていく。


「では改めてよろしく頼む。詳細は後で智からメールがいくはずだ」


なんとなくコーラで乾杯しながら礼那が徹に話しかける。


「まぁなんだ……よろしく……」


ぶっきらぼうに、しかし照れ臭そうに返す徹を見て、武流はなんだか徹と友達になれそうな予感がしていた。

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