無題詩6
音楽がどこからか聞こえてくる。
ホッチキスの芯が空から落ちて、
海に落ちて行った。
それはまるで戦場の、
降り注ぐ弾丸のよう。
何のファイルが砕けたのだろう?
時計が歪み空間が捩れ、
どろどろと宇宙が漏れ出てきた。
酸素も無くて希望も無くて、
でも僕たちは生きていて。
それはまるで運動場の、
大きな地割れのよう。
ベルが鳴り響いてとても五月蠅い。
混在する音と音。
分裂していく世界。
双つの現象を停める術はない。
いや、もう停止してる時空には、
救いもノスタルジイもなくて、
書物を紐解いても何も書かれていない。
天国はトークンで、地獄はトロンプルイユ。
壊疽した皮膚は空々漠々。
孤独趣味だけが際立って、
それはまるで工場の、
回る回る機械のギアのよう。
最後に残るは鋼の心。
何にも感じないし、
何にも思わない。
それが正解、それが大切。
歌ももう聞こえてこない聞こえない。