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REC_03_DF
決定的な瞬間は、いつも映っていなかった。
夜の映像。
赤外線。
再生時間、数秒。
音声だけがある。
息が荒くなる音。
何かが倒れる音。
画面には、何も映らない。
俺の記憶には、確かに何かがあった。
誰かが、家に入ってきた気がする。
過去を知っている元同僚の顔が浮かぶ。
恨みを持っていた元友人の名前を思い出す。
侵入者。
外部の存在。
そう考えた方が、辻褄が合った。
妻は、映像を何度も見返していた。
俺ではなく、画面を見ていた。
「ここ、映ってない」
彼女はそう言って、リビングの中央を指した。
何もない場所だ。




