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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

道端の空き缶2つ

作者: 読未

あなたはどうしてこんなにも美しいのだろうか


あなたは泣いていた


あなたは笑っていた


あなたは怒っていた


あなたはただ あなたはただ


からだに こころにまとわりついたものを


剥がそうとしただけだった


剥がすのに疲れた頃


あなたは私を久しぶりに見た


赤く染った私を あなたは見てしまった


声にならない叫びを上げて


あなたは私のように崩れ落ちた


そしてあなたは


私と同じ姿になった


必死に謝りながら


あなたは赤くなっていった


私はあなたを抱きしめた


腕の中で


あなたは泣いた


久しぶりに


あなたは笑った


こうして私たちは


赤いカーペットの上で互いを見つめた


あなたの首にキスをした時


あなたの味は


甘く しょっぱく 赤く 怖く


私は 何をすべきか分からなかった


私は 何かしたいと思った


ポケットにはスマホがある


私は 何もしたくなかった


あなたは私の腕の中で気持ちよさそうにまぶたを閉じようとしている


あなたを呼び覚ますのは よくないことな気がする


たとえがんばっても あなたは目を覚まさないだろう


あなたをおいていくのは よくないことな気がする


私だけが残っても あなたがいなくては何ができるのだろう


あなたの息が小さくなっていく


遠くの空が明るくなっていく


何ひとつ変わらず今日も世界は回るだろう


私たちが消えても


世界はいつ通りなのだろう


あなたを抱えて


私はただ座っていた


あなたと私は


意味があったのだろうか


あなたと私の出会いには


意味はあったのだろうか


あなたは可愛くて かっこよくて 愛おしくて


あなたがいて それでこそ私の人生だった


日が登っていく


あなたのこころは動かなくなっていく


死後の世界はあるのだろうか


それとも今までの全てが消えてしまうのだろうか


明るい朝日をあなたともう一度見たくて


私のまぶたが重くなる


動かない唇にキスをして


あなたと少しだけ寝ていよう


たとえ全てが無くなっても


この記憶に祝福を


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