表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精神転移貴族の建国記 ~神の力を得て、森の奥地に王都を築く~  作者: ねこあし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/85

第五十一話 最後の門と、闇の王

 ラウル、フィーリア、ルナの三人は、幻影と現実が入り混じった「闇の聖域」の迷宮を、互いの絆を頼りに進んでいた。ラウルが放つ光の魔法が道を照らし、フィーリアの森の魔力が幻影の攻撃を弱め、ルナの現実創造魔法が、行く手を阻む幻の壁を打ち破っていく。


 幾多の試練を乗り越え、彼らはついに、聖域の最深部に続く最後の門にたどり着いた。門は、これまでのどの結界よりも強力な闇の魔力を放ち、彼らの行く手を阻んでいた。


「この門の向こうに、魔力の源と、闇の眷属のリーダーがいます……!」


 ルナが、緊張した面持ちで言った。


 ラウルは、門に手をかざし、その魔力の流れを探った。その瞬間、彼の脳裏に、闇の眷属のリーダーの、傲慢な声が響いてきた。


「無駄な足掻きを……。貴様らの力など、この門を破るには至らない。そして、この門が破られた時、魔神の復活は、最終段階を迎える!」


「くそっ……!挑発に乗るな!」


 ラウルは、怒りを抑え、フィーリアとルナに視線を向けた。


「フィーリア、ルナ、最後の力を合わせて、この門を破るぞ!」


 三人は、再び互いの魔力を合わせた。ラウルの光、フィーリアの森、ルナの幻影。三つの異なる力が、一つに融合し、巨大な光の渦となって門にぶつかっていった。


 轟音と共に、門は激しく震え、ひび割れ始めた。しかし、門は、なかなか砕けない。


「まだだ!まだ足りない!」


 ラウルは、歯を食いしばり、最後の力を振り絞る。彼の全身から、これまでにないほどの強い光が放たれ、フィーリアとルナの魔力と共鳴する。


 そして、ついに門は、音を立てて砕け散った。


 彼らが足を踏み入れたのは、まるで宇宙のブラックホールのような、虚無の空間だった。その空間の中央には、巨大な祭壇が浮かんでおり、その祭壇の上には、闇の眷属のリーダーが、静かに佇んでいた。


「よくぞ、ここまでたどり着いた。古の血脈を継ぐ者よ……」


 リーダーは、そう言うと、仮面を自ら外した。その下から現れたのは、醜悪に歪んだ顔ではなく、どこか気品のある、しかし虚ろな表情をした、壮年の男だった。


「貴方は……!?」


 ルナが、その男の顔を見て、驚きの声を上げた。


「なぜ、驚く必要がある?私は、この世界の闇そのもの……。そして、貴様たちの故郷を滅ぼした者だ」


 男の言葉に、ラウルの心臓が凍り付いた。彼は、この男の顔に、見覚えがあった。


「まさか……貴方は、オルド王国の宰相、ガリウス……!?」


 ラウルが、震える声で叫んだ。


「その通りだ。アルフレッド王子。いや……ラウル。貴様が、まさか生きていようとはな」


 宰相ガリウスは、ラウルに冷たい視線を向けた。


「なぜだ!?なぜ、オルド王国を……!」


 ラウルは、怒りに満ちた声で尋ねた。


 ガリウスは、冷笑を浮かべた。


「なぜ?この世界は、あまりにも愚かだ。争いと、欲望に満ちている。私は、そんな世界を浄化するため、真の秩序を築くため、魔神の力を手に入れようとしたのだ」


 ガリウスは、自らの魔力を解放した。その魔力は、闇の眷属のリーダーとして彼が放っていたものとは比べ物にならないほど、強大で、そして純粋な闇そのものだった。


「私は、闇の王ガリウス……。この世界の全てを、私の手で変えてみせる!」


 ガリウスは、そう宣言し、ラウルたちに襲いかかった。彼の魔法は、空間そのものを歪ませ、ラウルたちを絶望の淵へと突き落とそうとした。


 ラウル、フィーリア、ルナの三人は、ガリウスの圧倒的な力に、絶体絶命の危機に陥る。しかし、彼らの心には、新生の王都の仲間たち、そして、彼らが守ろうとする世界の人々の笑顔が浮かんでいた。


「僕たちは、負けない!絶対に、この世界を守り抜いてみせる!」


 ラウルは、最後の力を振り絞り、ガリウスに立ち向かう。


 世界の運命を賭けた、ラウルと闇の王ガリウスの最終決戦が、今、この虚無の空間で、幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ