第四十九話 語られる真実と、ルナの決意
「ラウル様……。貴方が、この世界を救うために選ばれた存在だというのなら、私もまた、そのために貴方と出会ったのだと思います」
ルナはそう言うと、ラウルの手を取り、深く頷いた。彼女の表情には、以前のような不安や迷いはなく、確固たる決意が宿っていた。
「私の幻影魔術は、現実を創造する魔法へと覚醒しました。そして、私が潜入捜査で得た知識と合わせれば、闇の眷属に対抗できる、新たな戦略を立てられるはずです」
ルナは、自身の新たな力を、惜しみなくラウルに提供するつもりだった。
ルナの協力に、ラウルは心強さを感じた。彼は、ルナに、新生の王都の現状、そして、帝国との戦いの詳細を説明した。
「帝国の脅威は、ひとまず去った。しかし、ゼノン将軍の自滅は、かえって彼らの怒りを買い、次なる侵攻は、より大規模なものになるだろう」
ラウルは、そう言うと、ルナに、今後の戦略について相談した。
「闇の眷属は、この世界の『古の力』を狙っている。僕の『神のごとき魔法』、フィーリアたちの森の魔力、そして、君の幻影魔法の力も、彼らの標的になっているはずだ」
ルナは、ラウルの言葉に同意した。
「はい。彼らは、古の血脈を持つ者たちの力を、魔神の復活に利用しようとします。しかし、逆に考えれば、私たちがその力を結集させれば、彼らを打ち倒すことができるはずです」
ルナは、自身の幻影魔法を現実創造へと昇華させた経験から、一つの大胆な提案をした。
「ラウル様。貴方様の『神のごとき魔法』、フィーリア様の『森の魔力』、そして私の『現実創造魔法』。これらを組み合わせれば、闇の眷属の結界を破り、彼らの本拠地である『闇の聖域』へと乗り込むことができるかもしれません」
「闇の聖域……?そんな場所が、どこにあるんだ?」
ラウルが尋ねると、ルナは静かに答えた。
「はい。闇の眷属の本拠地は、この世界の地図には載っていません。彼らは、幻影魔術と現実創造魔法を組み合わせて、自分たちの聖域を隠しています。私が潜入捜査で得た情報によれば、その場所は、この世界のどこかにある、巨大な岩窟の中にあるそうです」
ルナの言葉に、ラウルは希望の光を見出した。闇の眷属の本拠地を特定し、直接乗り込むことができれば、彼らの根を断ち切ることができる。
「ルナ、ありがとう。君の協力があれば、必ず闇の眷属を打ち倒せる!」
ラウルは、ルナに感謝の言葉を述べた。
こうして、ラウルとルナは、フィーリア、ユリア、そして、新生の王都の仲間たちと協力し、闇の眷属の本拠地「闇の聖域」へと乗り込むための、新たな戦略を練り始めた。彼らの戦いは、帝国という現実の脅威から、世界の運命を賭けた、壮大な最終決戦へと、その舞台を移そうとしていた。