第3勢力……?
「……なあ、画面止まったんだけど」
「メンテ……だと?」
「斧が……まだ喋ってるんだけど!?どゆこと!?」
そう、ゲームは緊急メンテナンスに突入。
だが、斧だけは――いや、斧に宿っていた謎の声だけは、止まらなかった。
《余ハ目覚メタ……汝ラ、目覚メタ者ナリ……》
「ちょっと待て、斧、家で静かにしてもらっていい?」
Cちゃんの部屋にこだまする謎ボイス。
Cちゃんは斧(の音声が出てるゲーミングヘッドセット)を壁に向けてガムテで封印した。
⸻
一方、AくんとBくんはオフ会からの帰り道。
「なあ、俺たち、覚醒したじゃん? 羽根生えたじゃん?」
「うん、雷とかバリバリだった。超かっこよかった」
「……あのとき、画面の向こうじゃなくて、“自分の手”が光ってた気がするんだよな」
Bくん、そっと自分の指を見つめる。
ビリ……ッ
小さな放電が、指先に走った。
「おい、やめろ。そういうの、現実でやるな。火事になるぞ。また」
「もしかしてこれ、ゲームだけの話じゃなくなってきてるんじゃね?」
Aくんは、ふと自分の背中に違和感を覚える。
ムズ……ムズムズ……
(なんか……肩甲骨のあたりがかゆい……)
(羽根……出てきてないよな!?!?)
「いやちょっと待て、俺はただひっそり暮らしたいだけなんだ!」
「無理無理、今からレッドドラゴン再起動タイムでーす!!」
「やめてくれえええええええ!!」
⸻
その夜。
Cちゃんの部屋では、例の斧がついに……
フワッ
浮いた。
《我ハ斧ニシテ竜……キサラギ・ドラゴンソウル・マークII……!》
「長ぇ名前だな!!てか浮いた!?」
部屋の電気がパチパチッと一瞬だけ落ちる。
斧は壁にぶつかってまた落ちた。
「重ッ!めっちゃ普通に斧!!」
⸻
そして翌日。
Aくんたちの通う学校に――謎の転校生が現れた。
「……こんにちは。“巫女”って名前は、仮の姿です。皆さんには、“導きの者”として来ました」
あの、ゲームに出てきた“導きの巫女”そっくりな人物だった。
リアルで、ドラゴンの力が目覚め始めている。
3人(?)は、なぜ転生したのか? なぜ力が再起動し始めたのか――?
「でもその前に!テスト近いから勉強会な!」
「は!?ドラゴン関係ねぇ!!」
「斧が数学の参考書に火を吐いた!!」