1プロローグ① 回顧
なんか昔のギャルゲーっぽい話を書きたい
辛いことから逃げるのは当たり前だ。
嫌なことを見ないふりするのは簡単だ。
自分だけを大事にして何もなかったことにするのはとても楽だ。
そうやって歩んだ道を振り返ると、
曲がって先を見通せない真っ暗な道が残っていた。
そこに明かりはなく、思い出もなく、空っぽだった、
そして、これからもその道は続いていく。だって何も変わらないのだから。
そう思っていた。
1プロローグ① 回顧
カタカタとキーボードを叩く音だけが室内に響いている。
ある暑い夏の日。
俺は1人静かにリモートで仕事をしていた。
生暖かな風を送り続ける扇風機に嫌気が差してノビをする。
外からは子供が楽しげに遊んでいる声が聞こえた。
「子供は元気だなあ」
そこでふと自分の現状を省みる。
名前は雨ヶ谷翔琉、年齢は30ぐらい。
適当な会社に就職してだらだらと仕事。
アパートで一人暮らし。
人づきあいが苦手で、火にトラウマがあり自炊もできず。
毎日コンビニ弁当で酒を飲むのが楽しみなだけの日々。
呆れるほどにダメ人間だ。
本当にいつからこうなってしまったのだろうか。
もう30も半ば。一生このままなのかな…俺は。
「ひ――こ――――んだ。――ら次は―――に―――、頼む」
考えに耽っていると誰かの声が聞こえた気がした。
窓から外を見ても誰もいない。
外からは機嫌よく鳴いているセミの声。燦燦と降り注ぐ太陽の光。
それと元気に遊んでいる近所の子供の声が遠くで聞こえるぐらい。それだけだ。
目をつむってさらに思いを馳せる。
子供の楽しげな声で夏休みを思い出した。
俺にもあったはずだ。友達と楽しく駆け回ったあの夏が。
あったかな、あったかも、あったような。なんか出てこい!なんか!なんか!
…ないな。遊んでみたいと思ったけど声もかけられなかったし。
でもチャンスはあったはずだ。
あったかな。首をひねって考える。
子供の頃の夏休み。いつの日かの夏。
そうだ、あったような気がしてきた、あの時に俺は…。
もしも、もっと何かできていれば。もしも。
今とは違う俺がいたんじゃないのか?
はあ、くだらない妄想をした。
仕事に戻るか、と目を開いて異常に気が付いた。
むせかえるような熱気と土のにおい。
ふと我に返るといつの間にか見覚えのない屋外に立っていた。
強い日差しが痛い。屋内にいたはずだけど。
背後でバスが大きな土煙を立てながら遠ざかっていく。
は?パソコンは?仕事はなくなったのか?やったぜ!そもそも室内にいたんだけど?
「ここ、どこだよ!?」
俺の叫び声は意味もなくこだました。
2日に1回更新目指します。
1日に頑張って2000文字ぐらいしか書けません。
書いてるうちにうまくなるやろの精神。
KEY系列のゲームを参考にしています。