~たからもの~
宝箱の中には―――・・・
お姫様が幼年時代に描いた絵や、
もう記憶のないくらい昔、大切にしていたぬいぐるみ、
・・・
お姫様の大事な、大事なものが、小さな箱の中に納まっていたのです。
そのぬいぐるみや絵を見た瞬間、お姫様の瞳は涙でいっぱいになりました。
お姫様が幼い頃・・・お父様は冒険ばかりで、なかなかかまってくれませんでした。
当時のお姫様はそんなお父様のことが大嫌いで、一人で木登りしたり、魚釣りをしたりしていました。お父様が口癖のように「リーア。お前は女らしく育ってくれ。妃のマリアは少々乱暴すぎるからな」と言っていたので、それに逆らうようにして、男の子らしい遊びをしていたのです。
そのことをお父様は悲しく思われました。ですが、それについてはお姫様は、悲しくなったりしませんでした。むしろ、「お父様は、いつもリーアをほったらかしなんだから、少しくらい悩んでもらわないと!」くらいに思ってました。
それから、お父様が死ぬ日まで・・・いえ、死んでからも。
お姫様は、お父様が好きではありませんでした。
いえ・・・お姫様はお父様のことが大好きでした。
冒険から帰ったらいつもお土産がたくさんあるし、誕生日にはいつもプレゼントを枕元に置いてくれたのですから。
・・・でも、お姫様は、お父様に対して、正直な自分の気持ちを明かすことはできなかったのです。
「・・・ヨシュア」
「なんだ」
「・・・なんで・・・。『プレゼントありがと。お父様ともっと一緒にいたい』くらい、言えなかったのかな・・・」
お姫様は泣きながら言いました。
・・・「ありがとう」・・・そのたった一言なのに。簡単に言えるのに。・・・でも、言えなかった。
お姫様はその晩、ずっと泣いていました。
あなたは、伝えたい想い・・・ありませんか
人間は、いつ居なくなるか、わかりません。
胸の奥にしまいこまわないで、そっと、一言・・・言葉にしましょう。
すると相手はどんな気持ちになるのでしょうか?
照れたり、喜んだり・・・しませんかね。
作者も、伝えたい想いがあります。
親には、「迷惑かけてごめんね。ありがと」
友達には、「この前喧嘩したけど・・・大好き。ごめんなさい」
そして、
想い人には・・・
「好きです」
あなたも、そっと想いを、相手に打ち明けてみてください。
ときには喧嘩したりしても・・・
「あなたのことを、大切に想っているの」
と。
お姫様とお父様の絆を書いてみたくて、この作品を仕上げました。
さて・・・次話からは、いよいよ新しいシリーズになります!
これから、お姫様とヨシュアとエトロフとガンジは、どんな感じに動いてくれるのでしょうか!!
さて、ここでひとつお話しましょう。
よく、本のあとがきで、
「私が物語を考えているのではありません。
主人公たちが考え、動いている様を文にしているだけなのです」
と、よく見かけます。
最近、私もわかるようになってきました。
驚いたり、笑ったり、怒ったり・・・全てが脳内で映像となって出てくるのです。
なので、私自身も次はどんな展開になるのかな。と、いつもドキドキしっぱなしです。
これからもよろしくお願いします^^