~馬車2~
この物語はフィクションです。
登場人物の名前や国・村の名前は現実と一切関係ありません。
それを頭の隅に置いて、ごゆっくりとお楽しみください。^^
「ここが馬舎…」
お姫様はゴクっと生唾を飲み込みました。
大きな馬が左右に並び、奥で子馬が走り回っています。
「rionn,gennki? saetto,itazurahadameyo.」
ローズは馬たちに声をかけながら奥へと進んでいきます。四人もローズの後をついて行くと、ドアがありました
「kokoni,anatatatinosagasu[yasuibasya]gaaruwa.」
リオ以外の三人はざわつきました。リオは何がなんだかわかりません。
「ここに『安い場車』があんだよ」
ゲンが生意気そうに答えました。
早速中へ入ると、一つの小さな馬車がありました。
「……四人と荷物なら、なんとか収まりそうな大きさだな」
レンが馬車のところどころを見ながら、呟くように言いました。
取りあえず五人は一度玄関の方へと戻り、相談することにしました。
「nedannha,ikuradattakana?」
「zyoukentukide,1000zyozyoyo.」
ショーとローズが、何かを話しています。
「それにしても、あの年で、馬車屋を経営すんなんて、驚きだよなっ」
ゲンが本当に尊敬の眼差しで言いました。リオとレンも頷きます。
「本当にそうよね…さっきショーに歳を聞いてもらったら、まだ十二だったもの」
リオが呟きました。
「そりゃあすごい」
ショーが言いました。
しばらくローズのことを三人が話していると、もうショーとローズの話は終わっていました。
「全く…あなたたちは、人が真剣に交渉しているときに…レンまで、らしくないですよ?」
ショーはため息まじりにそう言い、レンの方をジロリと睨みました。
「…すまん」
レンは静かに謝り、話題を変えました。
「ところで、ショー。結局、どうなったんだ?」
「……ああ。馬車のこと? ローズいわく、条件付の940ジョジョ。1000ジョジョだったけど、挫折してくれたみたいだ」
レンとゲンはざわつきました。リオには意味がわかりません。
「ねえ、ゲン、ジョジョって、何?」
リオがゲンの服の袖を少しひっぱりました。すると……
「えっあっっ?! ジョッ・ジョジョはだなあっっ」
ゲンは顔を真っ赤にして、なんどもどもりながら叫ぶように言いました。それをおさえて、レンが変わりに答えます。
「ジョジョは、『Ω』と書かれ、この国の金だ。価値は一Ωに対し、日本円にしておよそ二百円ほど。偽金が使われにくいことで有名だ。その為利用される範囲も広い。特にここら辺はほとんどΩだ。覚えておけ」
「一円が他の国では二百円?! すっごいのねぇ…」
「Ωが使われている国はどこも力のある、有名な国だ。それにΩに刻まれている前国王の横顔は、たった三人の職人が作ったもので、周りには見えない記号も入っている。そしてその記号を知っているのは、Ωに刻まれた前国王とそれを作った職人三人だけだ」
レンがあまりにもスラスラとしゃべるので、リオは感心しました。
「レンってば、何でも知ってるのね。なんか、お父さんみたいだわ」
お城に住む者だとバレないように、『お父さん』とリオは言いました。なんだかムズムズしましたが、しょうがありません。
レンは少し微笑んで、
「父さんには敵わないと思うよ」
と静かに言いました。
まるで、『お父さん』を、凄くよく知っている人のように。
さあ、物語はお楽しみいただけたでしょうか?
ついに馬車を手に入れた一行は、これからどこへ旅たつのか。
次話をお楽しみに。