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~別れ~

この物語はフィクションです。名前などが同一の人物とも、一切関係ありません。

それを頭の隅において・・・


では、お姫様、ヨシュア、ガンジ、エトロフたち四人の物語をどうぞお楽しみください^^

「クッソォ・・・」

ガンジはクッションに拳を振り下ろしました。

それを見ていたお姫様はどうすればいいかもわからず・・・ただ呆然と眺めていることしかできなかったのです。

(何もできないのは私の方・・・! 自分の考えさえまとまらなくて、ガンジを励ますことも、エトロフに話しかけることも、ヨシュアに謝ることもできなくて・・・っっ)

お姫様はそう思いました。なんだか今日は泣いてばかりです。


・・・しばらくして、ガンジはハっと我に返り、「・・・すまねぇ・・・オレ、あんなことするつもりじゃなかったんだけどさ・・・。・・・すまなかった」と部屋を出て行きました。

お姫様はまだ泣いていました。

コンコン。

ノックの音が聞こえました。でも返事をすることもできません。

「・・・いないのか?」

声の主はヨシュアでした。お姫様は震えましたが、動くことも、声を出すこともできません。

「・・・また後で来る」

ヨシュアはしばらくドアの前に立っていたようですが、お姫様の声がないので、諦めて向こうへといったようです。お姫様は、「ホッ」っとしている自分が許せなくなりました。

ヨシュアには少しイラついていました。ヨシュアもお姫様に怒鳴って帰って行きました。

・・・謝りたい。

早く謝って、またあの温かい黒い羽毛の中で眠りたい。

そう想う自分が、心の隅にポツンといるのをお姫様は感じました。

また謝れなかったな・・・。

心の隅の小さな存在は、そうつぶやいています。

お姫様はその小さな存在の辺りが、ズキン・・・と、小さく痛みました。


「・・・ごめんね・・・ヨシュア・・・」


お姫様は、その小さな痛みをこらえながら、小声でつぶやきました。すると・・・


「・・・・・・こちらこそ」


「・・・え?」

お姫様はびっくりしました。

ヨシュアが、部屋のドアによかかって、腕組みしてこちらを見ていたのです。

「こちらこそ・・・すまなかった」

まだお姫様は状況が把握できません。

口をあけて固まっているお姫様を見て、ヨシュアはため息まぢりにこう言いました。

「こちらこそすまなかった、と言っている」

「えと・・・なんで、ヨシュアが謝ってるの??」

そのお姫様の言葉を聞いたヨシュアは、「お前はなにを言っている?!」とでも言いたいような顔つきで、お姫様を見ました。

お姫様は首をかしげて、困ったなあ、という顔をしています。

「はぁ・・・」

ヨシュアは色白の腕でデコをたたき、そのまま大きなため息をつきました。

「お前は・・・なんで・・・」

ヨシュアが笑いをこらえていることは、お姫様にもハッキリとわかりました。

「ちょっ、笑わなくたっていいじゃない! 悪いのは私の方なんだから私が謝るべきでしょ?!」

お姫様の言葉に、ヨシュアはキョトンとしていました。言ってる意味がわからない、とでも言いたげな顔をしているヨシュアを見て、お姫様は自分が深く落ち込み、一人で悩みこんだことがバカらしくなってきました。

「ほんとアンタはバカだよな」

「・・・今回ばかりは同意しますよ♪」

ガンジとエトロフの声がしました。お姫様が顔をあげると、ヨシュアの右にガンジ、左にエトロフが立っていました。

「ひどいじゃない二人ともっ! 私がバカなんじゃなくてっ、」

「・・・俺ら三人が馬鹿だとでも?」

お姫様が言おうとしてたことを、ヨシュアが先に言いました。するとたちまちガンジとエトロフはため息をついて、

「今回は、四人とも馬鹿だったってことかぁ?」

「今回ばかりは四人がオバカサンだったってことですね♪」

と言いました。

「ぷっ」

急にお姫様が噴出しました。

「んだよ?!」

ガンジが怒鳴りました。

二人の言ったことがそっくりだったので、落ち込んでいたお姫様も笑ってしまったのです。


その後―――結局ヨシュア・ガンジ・エトロフもつられて笑ってしまい、しばらく四人で笑い続けていました。


そして・・・。


「コルディさん、色々とお世話になりました」

コルディさんたちにたくさん迷惑をかけたからここに居辛い、というお姫様の想いを尊重したヨシュア達三人は、行き先はのんびり決めよう、ということにして、孤児院を出ることにしました。

「世話になったぜ」

「色々とありがとうね♪」

「・・・またくる」

四人とも言葉を残し、孤児院を出ようとしたとき・・・

「リーちゃん!!」

ハアハアと息をつきながら出てきたのはエヴィでした。松葉杖を小脇に抱えて、左足を引きずっています。

エヴィを誘拐した殺し屋たち(結局殺し屋たちは全部で四人だった)は、結局「遊撃隊」に取り押さえられ遊撃署に送られました。エヴィの左足は、取り押さえるときに殺し屋の一人が死にもの狂いで抵抗をしたときに負った怪我です。

「!! エヴィ・・・まだベットから出たらダメじゃない。そりゃあ松葉杖を使える程度には回復したけど・・・それでもまだ松葉杖を使うのはやめておいたほうがいいって診療所の先生言ってたじゃない」

大きめの荷物をヨシュアに預けて、お姫様は辛そうにしているエヴィにかけよりました。

「リーちゃんがいなくなるってルルたちに聞いたから・・・」

ルルとはエヴィの友達の女の子のことです。明るい子で、お姫様も何度か一緒に遊びました。

「それでもっ! エヴィは未来が長いんだから・・・これが原因で一生歩けなくなったらどうするの?!」

お姫様は少し暗くなったエヴィの顔を見てハっとしました。自分も侍女に「何度言ったらわかるんですか! 木登りをして大事な顔や足に傷を負ったら・・・お妃様と王様がどれほど心配すると思っていらっしゃるんですか!!」と大声で何回も怒られて、不快に思っていました。「自分のしたいことをどうしてしちゃいけないの!」「村の子達はみ~んなやってるわ!」と何度も文句を言いました。

・・・その、昔・・・否、今も苛つくコトを、エヴィにやってしまったのです。

「エヴィ、ごめんなさい・・・言い過ぎたわ。自分が嫌だと思うことを、エヴィにやってしまったの。ごめんなさい・・・。でもね、これだけはわかって! 私は、エヴィが歩けなくなって、もう一緒に遊んだり、おふざけしたりすることができなくなるんじゃないかって、怖くなってしまったのよ」

お姫様は一生懸命に自分の想いを伝えました。エヴィに嫌われたくない。エヴィに傷ついてほしくない。・・・その一心で。

「・・・リーアも、こわくなったりするの?」

エヴィが首をかしげて尋ねてきました。お姫様は涙を顔に浮かべながら、「うん、うん」と、何度も頷きました。

「リーア」

エヴィに名前を呼ばれて、下げていた顔を上げたお姫様は、びっくりしました。

エヴィも泣いていたのです。

「・・・あだじのごと、忘れないでいてぐれるの?」

大粒の涙をボタボタと服に落としながら、エヴィは泣き声をこらえながら、お姫様に言いました。お姫様は、

「当たり前よ! こんな大事で、一緒にいて楽しい友達は、初めてなんだから!! ・・・だから、忘れたりしないわ」

お姫様はそう言いながらエヴィに抱きつきました。

『カシャ』

ふいに、何かの音が聞こえました。音のした方を見ると、変わった服を着た青年が立っていました。手には四角いものが握られています。

「いい写真をありがとう」

青年は笑いかけながらエヴィとお姫様に言いました。

二人はキョトンとしています。

そして、ハっとしたお姫様は、

「その手に握られているものは何?」

と尋ねました。

青年はその四角いものを少し上に上げて、「これ?」と言ってきました。お姫様はコクンと頷きます。

すると青年はニコっと一瞬微笑んでから、説明を始めました。

「これはね、『カメラ』という物で、景色や人物をこういう一枚の紙に写すんだ。それを『写真』というのだけれど、写真を撮るには、ここの丸い『レンズ』を通して使うんだよ」

一通りの説明が終わると、エヴィとお姫様は目を輝かせ、「もっと見せて!」とかけよりました。そして青年の厚意で写真を一枚ずつ撮らせてもらえることになりました。

そして二人で話した結果、お姫様は孤児院を、エヴィは子供たちと四人とコルディの集合写真を撮ることになりました。

お姫様は孤児院から少し離れたところで、カメラを上に向けて構えました。

「写真を撮るときは、胴体と肘を固定するのが大切なんだ。もう少し孤児院から離れて、膝をついて・・・そうそう。それで、肘は・・・―――」

青年の丁寧なアドバイスを受けながら、お姫様は一枚の写真を撮りました。

『カシャ』

カメラの下のところから出てきた写真には孤児院が大きく写っていました。少しのブレもなく、青年は、「なかなかいい写真だね」と笑っていました。

次はエヴィの番です。エヴィはドキドキする鼓動をおさえながら、みんなを集めました。

エヴィは松葉杖なので、イスに座って撮ることにしました。

『カシャ』

青年も一緒にとった集合写真は後ろに太陽があり、隅っこに孤児院が小さく写っていて、右端にエヴィが密かに育てていたお花の満開も写っていたので、素敵な写真になりました。

青年はその後、「エヴィちゃんも写りたいよな」と言いエヴィは静かに頷きました。

「オレが撮ってやるから、エヴィちゃんもみんなのトコ入りな」

青年が言いました。でも、エヴィは首を横に振ったのです。

「なんで?」

首を傾げながら青年が尋ねると、お姫様が少し大げさにため息をついて、

「エヴィは、この孤児院の、この時間にいる『みんな』と写真を撮りたいのよ。例え、通りすがりのあなたでも、ね」

と言いました。青年はびっくりしてエヴィを見ました。エヴィはコクコクと頷いています。

それから青年は「じゃぁ」とひとつの提案をしました。

その提案とは、カメラの機能を使って、みんなが写れるようにしよう、というものでした。カメラにタイマーを設定して、時間が来たら自動的に写真が撮られる、という機能は、みんな驚きました。

「でもそのためには、台が必要なんだ。これくらいの・・・」

青年は自分の胸のあたりをトントンと叩きながらいいました。その言葉に、コルディは「それなら、いいものがあるわよ」と言いました。

コルディの言う「いいもの」とは、大きな脚立のことでした。

丁度一番上が青年の胸の高さです。青年は微笑み、早速セッティングし始めました。

そして、青年が色々している間、お姫様とエヴィは孤児院の前を通り過ぎた何人かに声をかけました。

「一緒に思い出の一枚を撮りませんか?」

と。

結局、孤児院の子供たち二十人、コルディ、お姫様、ヨシュア、ガンジ、エトロフ、通り過ぎの村の住人七名・・・それと青年の、合わせて三十三人の集合写真撮影となりました。

青年はカメラをセットして、大急ぎでコルディの横、一番端に行きました。すると・・・。

なんと前にいた子供たちが、青年を真ん中へとひっぱったのです。

お姫様たちも道を空けて、青年を真ん中へと手招きしました。

「そろそろかな?」

子供の一人が言いました。

「おお。十秒前!九、八・・・」

青年が答えて、数え始めました。

「ななーっ! ろくーっ!! ごぉーっ!!!」

子供たちも数え始めました。

「四、三、二」

村の住人たちも数え始めました。

「イチッ!!!」

『カシャッ』

最後はみんなで元気よく言い、写真を撮りました。

村の住人たちはカメラが写真を印刷する様を、興味深そうに見ていました。

そして、青年の提案で、この写真を拡大して印刷し、みんなでメッセージを書き込んで、お姫様へのプレゼントにしよう、ということになりました。

それは、村の住人たちも一緒です。

「楽しかった・・・で、す・・・あ、り、が、と、う・・・っと」

一人一人が、丁寧に書いていきます。

「通りすがり・・・の、私を・・・誘ってくれて・・・ありがとう・・・」

「また、来て・・・ね。・・・んっとぉ・・・待ってる・・・よ」

「いつでも・・・遊び、に・・・来て・・・くだ・・・さいっ」

「今度ウチに・・・遊びにいらして、ください、ね・・・」

一人一人が、お姫様のために書いていきます。


この家を出る。


そう決心したはずなのに。


もう泣かない。


そう決心したはずなのに。


お姫様は涙がポロポロ、こぼれてしまいました。


「みんな・・・ありが・・・と・・・ぉ・・・っあたし・・・色々、みんなにっ・・・迷惑、かけちゃっ・・・て・・・ぅぅっ・・・ぐすっ・・・うぅ・・・っっ」

お礼を言いたいのに。謝りたいのに。

・・・お姫様はうまく言えませんでした。

「・・・あ、そうそう。お礼とかは言わないでよね」

突然、子供たちの中の一人が言いました。

「だって、お礼なんか言っちゃったら、二度と会えなくなっちゃうかもしれないじゃない」

その一人はお姫様の方を見て、言いました。


「『お礼を言わなきゃ』って、ココに来てよ」

~別れ~・・・お楽しみいただけましたか?


四人のすれ違いもお姫様の一言で解かれ、いよいよ四人は旅立つことに。

さて・・・次の街・町・村は、どこなんでしょう?

お姫様は城へ帰るのか・・・?

全ては・・・できるだけ・・・次話の中に!・・・入るかもしれません。

や~全部思いつきで書いてますからね。ハッハッハ。


あ、そうそう。

ちなみに・・・ですが。


カメラを持った青年


登場しましたよね?

あの青年の設定をお届けします^^


名前:エル・マルガーノ

歳:十八歳

職業:新人フリーカメラマン


こんな感じです。

今回は本遍で説明することができませんでした。。。;


後、これもミニ情報ですが。

お姫様の「リーア」という呼び名は、お父様が今の名前と最後まで悩んだと言っていた名前です。お姫様はリーアの方が気にっているので、偽名代わりにそれを使っています。


では、また次回^^

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