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~昔~

お姫様は責任をひしひしと感じながら、コルディの部屋のソファに座っていました。

「おまたせ」

コルディがティーカップと暖かそうな湯気の上がっているポットをテーブルに置きながら、そうつぶやくように言いました。

最初はヨシュア、ガンジ、エトロフの中の一人が着いていくと言ったのですが、お姫様はそれを拒否して、「コルディと二人っきりで話したいの」と言いました。こちらに味方がついているような「それ」は、なんだか卑怯な感じがして、イヤだったのです。

「ありがとう。・・・」

お姫様はお礼を言うと、なんとなく黙ってしまいました。イヤァな空気が部屋をうめつくしていきます。

すると突然、コルディが口を開きました。

「ねえ」

「?」

お姫様は顔をあげると、ビクっと身震いしました。

コルディは怖がったりせずに、お姫様の顔を、瞳を・・・まっすぐ見つめていたのです。

「今回のことで、変な気を使ったりしないでね?」

コルディが寂しそうな顔をして言いました。お姫様は、うつむいて、涙を浮かべました。

「・・・うぅっ・・・あぁ・・・っっ」

お姫様は声をあげながら涙を流しました。

するとコルディは、ゆっくりと両手を差し出して、お姫様に微笑みかけました。

「コル・・・コルディィ・・・っっ」

お姫様はコルディの胸に抱きついて、わんわんと声をあげながら泣きました。コルディは優しく手のひらでお姫様の頭を軽く叩きました。

「一国を守ることとなるお姫様が、こんなことでどうするの? ほんと、まだまだ『おひめさま』って感じがするわよ? うふふ」

コルディはお姫様をなだめながら、こう続けました。

「・・・ここの子供たちが連れて行かれたのは、初めてではないのよ」

「・・・え??」

お姫様はびっくりしました。

「そのとき・・・今から三〇年ほど前かしら。できたばかりのこの孤児院にね、蒼いマントを羽織った赤い髪と赤い瞳の男の人が青年を連れてやってきたのよ。・・・男の人はエルガンと名乗っていたわ。青年の名前は教えてもらえなかったけれど」

コルディの胸の中で泣いていたお姫様は、ハっとしました。エルガンとは、お爺様の名前です。青年というのは、お父様のことでしょう。

(お父様も・・・来てたんだ・・・。お爺様も・・・っ)

「そのときね、青年は、綺麗な白い長い髪の女の子をタオルに包んで抱えていたの」


綺麗な白い長い髪。


その言葉を聞いた瞬間、お姫様は悪い予感がしました。

「もしかして・・・」

お姫様がコルディの服の裾をかるく引っ張って言うと、コルディはお姫様の頭をぽんと軽く叩いて、

「エヴィは、そのときの赤ん坊なのよ」

と言いました。

「今日の犯人は、きっとそのことを知っているのね」

コルディが真剣にお姫様の瞳を見て言ったので、お姫様は思わず生唾を飲み込みました。

「でも・・・」

コルディは、ゆっくりとこう続けました。


「エヴィがそのときの子供だっていうのは、エヴィがきたとき、この孤児院にいた子達と、友人のアルカネットしか知らないの。・・・そのアルカネットは、数ヶ月前に他界したのだけれど」


「それって・・・!!」

「・・・ええ。犯人は、この孤児院に昔いた子達しか、ありえないのよ・・・っっ」

コルディは悔しそうに顔をしかめて、拳を痛いくらい握り締めました。


「・・・絶対許さない!!」

さあさあ、エヴィちゃん誘拐編、いよいよクライマックスに突入!!


犯人はだれ?!

エヴィはどうなったの?!

お姫様はどうなっちゃうの?!


すべては、(多分)次話の中に!


次話・~犯人はあなた~(サブタイトル候補)、ご期待ください!!

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