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~誘拐事件~

「エヴィチャンが、いなくなった―――っ」


そのガンジの一言で、お姫様の思考は完全に止まってしまいました。

「・・・おめえもさっさと探しに行け!」

ガンジがそう叫んで部屋を出て行くと、お姫様はまだなにがなんだかわからないのに、一人ぼっちになってしまいました。


昨日、自分の身分・・・王族だということを、みんなに明かした。


そしてその後・・・真夜中に、エヴィは行方不明。


気まぐれにどこか散歩するにしては早すぎる。だから、きっと・・・。


誘拐


その二文字が、お姫様の頭の中を埋め尽くしました。

「探しに行かなきゃ・・・っっ」

お姫様が一階の食堂についた瞬間、食堂には誰もいなくなっていました。その代わりに、ジリリリと、どこからか聞こえてきます。

電話が鳴っている方は、キッチンです。

キッチンを隅々まで調べると、隅っこに電話が置いてありました。

「どうしてこんなところに・・・?」

そうお姫様が呟きながら電話をとって、受話器を手に取ると、受話器の向こうにいる人が誰か、すぐわかりました。

「リーアァ・・・(ぐすっ)・・・」

「エヴィ?!」

お姫様が叫ぶと、ガンジが、

「どうかしたのかよ?!」

と駆けつけてきました。

受話器から聞こえてくる声は、恐怖におびえているみたいに、ガタガタと震えていた。

「お~い娘ぇ! あんたがヒメサマかぁ? コイツの命が惜しけりゃなぁ~、今すぐネックレスを渡しやがれぇ!!」

エヴィの声の後には、エヴィを誘拐したらしい男の声がしました。お姫様は怖くなりましたが、エヴィはもっと怖いから、と、勇気を振り絞って、こう言いました。

「エヴィちゃんを放してください!」

近づいてきたガンジや子供たちも状況を読み取って、食堂はしーん・・・と、静まり返りました。

「あぁ? だぁかぁらぁ、そのエヴィとやらのムスメを返してほしけりゃ、ヒメサン、あんたのネックレスを返せっつってんだよぉ!」

男は少し苛立ってるようです。

お姫様の不安な様子を見かねて、コルディは受話器を手渡すよう、お姫様に向かって小さく手招きしました。お姫様は無言で受話器を渡すと、とたんにガタガタ震え始めました。でも、お姫様は自分の服のはしっこをギュッと握ったジョーイとショーンを見て、頑張らなきゃ。年上の私が、こんな顔しちゃいけない! と思いました。全身に力を込めて、地面を踏みしめ、唇をきゅっと結びます。それから、男と話しているコルディを一身に見守りました。

「ですから! エヴィの代わりにわたしを人質にしてと言っているんです!!」

コルディは半ば怒りながら男と交渉しています。

「・・・二〇〇万$(ジュアル)?!」

コルディが突然叫びました。ガンジたち、子供たちも動揺しているようです。お姫様はわけがわからなかったので、ヨシュアに$のことを尋ねました。

ヨシュアはこう答えました。

「$は・・・ここらへんのお金の単位。二〇〇万$=四〇〇万円・・・」

お姫様の国では日本円が通貨でした。ほとんどお城ですごしていたので、外国のことはあまり知りません。

「そうなの。教えてくれてどうもありがとう。つまり二円が一$なのね」

お姫様は指をおりながら言いました。ヨシュアも頷いています。

・・・さて。

コルディの方はどうなったのか・・・。お姫様はハっとして、コルディの方を見ました。そういえば、やけに静かです。

「コルディ? どうだった??」

お姫様は受話器を静かに戻したコルディにかけよって、ギョっとしました。

コルディは顔を真っ赤にして涙を流していました。

コルディの泣く姿を見たことがなかったお姫様は動揺して、コルディの背中をやさしくさすることしかできませんでした・・・。

コルディが泣いた。

姫は困った。

そして・・・


エヴィは、今も助けを求めている。


・・・。

さて、これからどうなるんでしょうか!

四百万なんて、なかなか用意できません。

でも、用意するのでしょうか?

エヴィは助かるのでしょうか?

すべては、次話の中に!!

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