~エヴィ~
孤児院へつくと、みんなは食堂で遊んでいました。人形遊びをしたり、ボールを転がしたりしています。
ショーンはジョーイの方に近づいて、遊びに混ざりました。お姫様はキッチンに行って、暖かいココアをつくりました。ミルクたっぷりの甘ぁいココアです。
「リーア、なにのんでるの??」
薄藍色の髪と瞳をした少女が話しかけてきました。
「これはね、ココアという飲み物なの。甘くて美味しいわよ。飲んでみる?」
お姫様はそう言うと、小さいコップにココアを少し注いで、少女に差し出しました。
「ありがとう。・・・(ごくん)・・・!! おいしいのねっ」
少女はココアを一口飲んで、笑顔でそう言いました。あっというまに飲み干したけれど、まだ物足りなそうだったので、お姫様は、
「おかわりはいかが?」
とききました。少女の顔はパァっと明るくなり、
「うん!!」
と元気に返事をしました。
ココアを飲み終えたお姫様と少女は、少しお話することにしました。
「あたし、エヴィっていうの。エヴィ・グロッサ」
「まあ! ステキなお名前なのね。私の国では、エヴィというのは四神の一人で、水を司る神様なのよ」
「へえ? あたしの住む村では呪われた魔女として有名だったわ。でも、神様の名前でもあるのね。しかも水?! あたし、お水が大好きなの。嬉しいっ」
「水が好きなのね。他に好きなことはないかしら? 私、あなたの・・・エヴィちゃんのことを、もっとよく知って、仲良くなりたいの」
お姫様とエヴィはその後も自分の住むところや好きなこと、ものについて楽しく話しました。
しばらくして、コルディがご飯の用意を始めました。お姫様は料理の手伝いをして、エヴィはお皿を運んだりしました。
子供たちが席につくと、大きな声で「いただきます!」と言いました。
「今日の料理はリーアの国の特産物で、貴重なものなの。味わって食べなさいね!!」
コルディがそう言うと、いきなり子供たちの食べるスピードががくっと下がりました。
「いいのよ気を使わないで。みんなが言えば私はいつでも、どこでも、この料理を運ぶわ!」
お姫様がそう慌てて言うと、エヴィが、ゆっくり口を開きました。
「・・・でも、リーア・・・。あんな大きなお山を三つもこえるなんて、とってもタイヘンよ」
エヴィが言い終わると、嬉しそうにしていた子供たちも、シュン・・・としてしまいました。
「そうだよな。リーアは木のぼりはジョウズだったけど、山のぼりはタイヘンだもんな」
「一つでも大きなお山なのに、三つもこえるなんて、リーアにわるいわよ・・・」
そんなことを友達同士で言いながら、寂しそうにしている子供たち。リーアは、「大丈夫よ!」と大声で言いました。そして、こう続けたのです。
「秘密にしてたけど・・・」
子供たちがゴクっとつばを飲み込みました。
お姫様は思いました。
(ここで秘密にしても・・・子供たちに悲しい想いをさせるだけ!!)
そして、意を決して、こう言いました。
「私は・・・王国の・・・ユリベリア王国の、王様の、娘なの」
子供たちはもちろん、コルディも驚きの顔をして、ざわめきました。
「だから、馬を従えて、ここに来ることができるの」
お姫様はかまわず続けました。
「だから・・・ぜんぜん悪くなんて、ないのよ」
そのとき、エヴィはとっても嬉しそうな顔をしました。
その笑顔を・・・お姫様は、見逃しませんでした。
新たな子供・エヴィと出会ったお姫様たち。これから、どうなるのでしょうか。
さて・・・
前回、『次話、新展開!!』なんて言ってましたよね?私。
でも、残念ながら新展開につくことはできませんでした。でもそれは、私のせいじゃありません(苦笑)
なぜって?だって、私はお姫様たちの行動を描いて、みなさんにお届けしてるだけですもん。
だから、私は悪くない!なーんて言い訳を考えちゃうんです@@;
でも、本当なんですよ。
お姫様が、エヴィと仲良くなって、料理を出して、秘密をあかして・・・
これからも、少しずつですが、お姫様たちは一歩を踏み出していくでしょう。
みなさん。
そんなお姫様たちを、私と一緒に見守りませんか?