緋色のアネモネ
どうも、蛸丸です。初めて短編に挑戦しました。1分ほどで読めてしまうので、お暇な時に読んで頂ければ幸いですm(__)m
今日は結婚式だった。新婦は俺の7歳年上の従姉、新郎は彼女の2つ上。共通の趣味を通じて知り合ったらしい。
小さい頃は弟や妹と一緒に、従姉によく遊んでもらっていた。大きくなるに連れて遊んでもらうことは減っていったがお盆や元旦などの節目には度々会っていた。
俺は従姉に対して恋愛感情があった訳ではなく、単なる親戚の1人として見ていた。式後もそれは変わらない。
ただ、挙式や披露宴の時のウェディングドレスに身を包んだ従姉の姿が、羨ましく、愛おしかった。
※ ※ ※
「あんたも良いお嫁さん見つけなさいよ?あたしはあんたの結婚式を見るまでは死ねないわ。」
帰り道、祖母が真面目な顔で俺に言ってきた。
簡単に言ってくれるな、と思いつつも俺は、
「まあ、そのうちね。」と返す。
まだ“あいつ”が隣にいたのなら、彼女を、従姉を羨み、愛おしいとは思わなかったはずだ。それを思い出して自分が少し嫌になった。
過去は変えられない、もう2度と会うことは無いだろう。仮に会ってもその時はただの他人である。
ただせめて、体には気を付けて。
お幸せに。
拝読ありがとうございます。よろしければ、連載中の「久遠の依頼屋さん」も読んで頂ければ嬉しい限りです。何卒よろしくお願いいたしますm(__)m