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海 短編集  作者: 魚羅太郎
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ふと、空を見上げた時に目に映る満月の素晴らしさを君に伝えたいのだが、

上手くそれを言葉にして送ることが私にはとても難しいのだ。

「綺麗」だとか「美しい」だとか一つの意味しか持ち合わせない一単語だけで形容することは、

至難の業だと私は考える。

こう見えて私も文学を多少は齧っているが、

これまでに出会ってきた言葉であの満月を表すことはやはりできないものなのだ。

それは単に私が出会ってきた世界が少なかったり小さかったことも要因の一つかもしれないが、

それでもやはり難しいのだ。

例えば、

満月だと知っていて空を見上げた時と

知らずに満月を見てしまった時とでは

根本的に違うことだというのは君にも分かるだろう。

もう一つ、

満月かもしれないと見た満月と

満月ではないだろうと見たときの満月も

これも全くの別物だということは君にも分かると思う。

さらに一つ、

人から知らされて見た満月と

自分だけが知る満月を見た時、

同じものを見ても全く別の世界が見えていることの証明であると私は考えるね。

こういった幾つもの事象を抱え込んでいたり

現象が重なっているものを、

たったの一言で何と表すことができるだろうか。

まず無理だろうね。

しかし、それを無理だと一蹴してしまうのも面白くない。

そうは思わないかね。

『そう思うかもしれないし、そうは思わないかもしれない。』だって?

君も言うようになったじゃないか。

だからね、私はこういったパネルを作ってきたんだ。

「偶然に満月を見たとき、あなたはその様をどう伝えるか。」パネルだ。

勿論、このパネルに書き込んでしまってはすぐに埋まってしまうから、

付箋を貼ってもらことにしたんだ。

よし早速やってみようか。

『俺も手伝うのか』だって。

当たり前だ。

一人でやるには大変だろう。

分かったよ、そこまで言うのなら駅前のケーキ屋でどうだ。

よし、手伝ってもらおうか。




まさか一人も答えてくれないなんてね。

わざわざ心理学部の友達も呼んでやったっていうのに。

君にケーキを奢って終わりだなんて最悪だよ。

『今の気持ちはどうか』だって。


最悪だよ。

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